米ミズーリ州セントルイスのワシントン大学セントルイス校で、学費ローンの重さを皮肉って表現してみせる学生たち(2016年10月9日撮影)。(c)PAUL J. RICHARDS / AFP

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【AFP=時事】米国で大勢の人が学費ローンを返済するための借金地獄に陥る中、学生たちは学費を出世払いする新たな方式「インカム・シェア・アグリーメント(ISA)」に頼りつつある。卒業後に職を見つけられない場合や給与が一定額を下回る場合は、その期間の支払いも免除となるシステムだ。

 これまでISAは少数の大学およびコンピューターのプログラミングなどを行う職業センターなどだけで採用されてきた。だが学生の学費ローン返済の問題が悪化する中、注目を集めている。

 米国の学費ローンの残高は現在1兆5000億ドル(約165兆円)を超え、国民の多数が、マイホームやその他の高額商品の買い物を諦めるか先伸ばしにせざるを得なくなり、景気停滞が広がっている。

 今月11日に米インディアナ州のパデュー大学(Purdue University)を化学技師として卒業したポール・ラウローラ(Paul Laurora)さん(22)は、ISAに助けられた一人だ。州が支援する学生ローンと自分の貯金、両親からの援助を合わせても、大学2年目を終えたところで資金が尽きてしまった。インディアナ州外の学生であるラウローラさんが支払わなければならない学費は年間4万ドル(約440万円)だった。

 銀行から追加融資を断られたラウローラさんは、オークションサイトのイーベイ(eBay)で所持品を売り始め、1学期休学して働くことや、両親の退職後の蓄えを使うことも考えた。そんなときにISAという選択肢があることを知った。

「お金がないからといって、途中でやめたくなかった」とラウローラさんは言う。

 ISAを通じて、ラウローラさんは大学から約3万ドル(約330万円)を融資してもらった。給料の9.6%で返済していく予定で、期間は収入水準によって決まる。

 パデュー大学は主要な公立大学の中で最初にISAを提供。2016年以降、学生759人に計約950万ドル(約10億5000万円)の学費を融資してきた。他の教育機関も後に続いている。

■ウォール街も投資対象として注目

 ISAと契約した学生は在学中に学費を支払う必要はないが、卒業後、年収が少なくとも学費の1.5倍に当たる4万ドルを超える場合、給料の10%を最長4年間まで支払わなければならない。本人または家族の問題、健康上の問題で失職した場合に支払いを一時中止することもできる。

「人生にはいろいろなことがある」と、大学ができるだけ多くの学生にとって利用しやすいものにする仕事をしているトム・オグレツリー(Tom Ogletree)さんは話す。

 大学側は学生が働いて契約を履行するまで学費は回収できないため、確実に学生が仕事で成功を収められるようにすることがその大学にとっての最善の利益となる、と同氏は指摘する。

 ISAは、ウォール街(Wall Street)からも関心を集めている。

 学校と投資家を結ぶプラットフォーム「エドリー(Edly)」では、適格投資家が選考済みの大学プログラムに投資することができる。

 エドリーの創設者の一人、チャールズ・トラフトン(Charles Trafton)氏は、新たな投資先を探している投資家にとって、ISAのリターン(投資収益)はかなり魅力的だと主張する。

 ISAに関する法整備はまだ不十分だが、連邦議会といくつかの州ではさまざまな議論が進められている。

【翻訳編集】AFPBB News