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日経が主催する国内最大規模のAIイベント「AI/SUM 2019 アプライドAIサミット」が4月22日〜24日の3日間、東京丸の内エリアで開催された。
初日となる4月22日には、三菱地所・ソフトバンクロボティクス・GROUNDの3社のキーマンが登壇し、「AI×ロボット×丸の内 〜清掃・警備・運搬・物流・会話ロボットの現在と未来〜」をテーマにトークセッションが行われた。副題を「ビジネスマンで賑わう街 “丸の内”、実は夜になるとロボットで賑わっている」とし、三菱地所が本社ビルや丸ビル、新丸ビル、横浜ランドマークタワーなどで行っている数々のロボット実証実験の紹介や、流通・倉庫でのロボットの活用方法を紹介した。
また、セッションの最後には、パネルディスカッションとして「AI×ロボットはどこまで人間の代わりになるか」「ロボットの自動化はどのような分野で進んでいくか」などのテーマで議論が行われた。本セッションのモデレーターはロボスタ編集部の神崎洋治が務めた。

テーマ:
AI×ロボットで既に何が起こっているのか。これから何が起ころうとしているのか。
三菱地所の丸の内や横浜での実証実験を中心に「AI×ロボットで街やビジネスがどう変わるのか」を具体的に考える。

まず導入パートとして、ロボスタ編集部の神崎がボストン・ダイナミクスのAtlasやSpotMini等の動画を流し、現在のロボットの先端技術を紹介しつつ、AIによってロボットがより賢くなってきているという潮流を示した。
周囲の状況を的確に認識したり、バランスよく走ったりバク宙する技術は、ディープラーニング等のAIとロボティクス技術を融合した成果として紹介された。


「公道の自動運転の実現にはまだ5年くらいかかるのではないか。しかし、倉庫やオフィス、敷地内での自動運転はもう実現できるレベルに達しているし、自律走行する清掃ロボットの機は熟したということで力を入れている」と語った。

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●ロボットの実証実験を積極的に重ねる三菱地所
三菱地所はお膝元である丸の内エリアを中心にロボットやモビリティを活用した街づくりを目指している。案内ガイドにセグウェイを試用したり、「RS26 Powered by BrainOS」(SBR)や「Neo」(マクニカ)といった大型の清掃ロボットも活用した。更には警備ロボットを開発するシークセンス社に5億円を投資し、現場のニーズをフィードバックしながら実践的な製品開発に協力している(ALSOKの警備ロボットの実証実験も行っている)。また、人を追従する運搬ロボットの実験も行なっている。運搬ロボットは災害時に土のうを運ぶ役目を担えるかといった試験や、宅配業者との連携するとどんなサービスが提供できるかなどデリバリー向けの実験も行ってきた。会話ロボットをランドマークタワーとその周辺の案内役に起用もしてみた。それら実証実験を通じて、ロボットができること、まだまだ人間でないとできないことを浮きぼりにした上で、どのような業務からの自動化が最適かを検討している。

「デジタル機器やロボットを通じて既存のビジネスモデルを変えていく」と語る三菱地所株式会社 DX推進部 統括 渋谷一太郎氏
三菱地所は立命館大学ともロボット活用で連携も発表している。同社と同大学とは解決すべき課題が「人手不足」や「施設管理の効率化」と一致したと言う。公道では試すことができないロボットやモビリティも立命館大学と一緒に積極的に検証・検討していきたい、と意欲を見せた。

●清掃・警備・自動搬送ロボット
清掃ロボットが話題に上ると、実導入を発表したソフトバンクロボティクスの「RS26」と「Whiz」について、三菱地所の渋谷氏は「ティーチングが便利なこと」をまず利点としてあげた。「RS26」は清掃スタッフが搭乗して走行したルートを記憶し、「Whiz」は手押しでルートを記憶させることで次回から記憶したルート通りに自動で清掃するしくみ。また、「清掃したログが残る点もとても便利だ」と語った。更に、実証実験では自律走行中に壁や障害物に衝突した事案もなく安全面の信頼性が高いとした。


写真は別記事「三菱地所に5種類の業務用清掃ロボットが大集合、特徴や長所を比較!シーバイエス「swingobot2000」、マクニカ「Neo」ほか」より
ロボスタの神崎は「RS26」のJR大阪駅での導入事例を紹介。ポイントとしては、深夜でも人がいる高速バスの待合などでは、人を避けながら掃除している様子に注目。人がいる中でも掃除ができる点で、活用の幅や可能性が大きく拡がっているとした。

関連記事「自動運転のAI掃除ロボット「RS26」が大阪駅構内、バス乗り場でも活躍!先行導入企業がショッピングモールなどの導入効果を公表」より
実証実験を行った警備ロボットの中では、渋谷氏はシークセンス社の「SQ2」にフォーカスした。このロボットは行きたいところを防災センターから遠隔指定するだけで、3Dセンサーによってマッピングしながら周囲の状況を把握し、人を避けて目的地に到達する点を高く評価した。ロボットに装備したカメラで防災センターから遠隔で映像による監視・確認や撮影ができるほかマイクを通して会話もできる。

「SQ2」は横浜ランドマークタワーでの実験を経て、現在は大手町の自社ビルで実証実験と開発が行われていると言う。写真は別記事「【未来型でかっこいい】自律移動の警備ロボット 「SEQSENSE」(シークセンス)SQ-2、実証実験と管理操作画面を三菱地所が公開」
追従式の自動搬送ロボットについては「EffiBOT」を評価。追従のボタンを押すだけでLiDAR(センサー)で人間の脚を認識してついてくるので操作が簡単な点と、方向転換や追従の認識が早い高レスポンス性を渋谷氏は評価している。最大300kgの荷物を運ぶことができる。この機能をどう使えば、運送・配送などの人手不足の解決できるかを検証していくべきだとした。

ボタンひとつで、重い荷物を載せて追従してくれる「EffiBOT」。写真は別記事「人について自走する運搬ロボットが横浜ランドマークタワーを走る!三菱地所がデリバリーや災害対応などユースケースを探る」

■渋谷氏にレスポンスよく追従し、一緒にエレベーターに乗り込む「EffiBOT」:


●棚ごと商品を運んでくる倉庫管理システム「バトラー」
GROUNDは倉庫内のロボットでは移動ルートが重要になるが、このような運搬ロボットのニーズは大きいと言う。同社は配送する製品をラックごと自動搬送ロボットがスタッフのことに運んでくる「バトラー(Butler)」を取り扱っている。ニトリホールディングスの物流子会社、ホームロジスティクス社も大阪の物流倉庫に導入しているシステムで、人と比較してバトラーのピッキング効率は4.2倍を達成したと発表した(2017年12月時点)。

写真は別記事「ニトリも導入した自動搬送ロボット「バトラー」物流倉庫の自動化を加速!4.2倍のピッキング効率を達成するしくみ」より
小林氏は「解りやすく言えば、お店のレジで「これが欲しい」とオーダーすればロボットが棚ごと運んできてくれるイメージ。膨大な数の出荷作業を行う物流倉庫で言えば、ひとり担当者に対して複数のロボットが棚を運んできてくれるので歩いて探す必要がなく効率化がはかれる」と解説した。

●人とロボットが協働する未来

●ロボットの自動化はどのような分野で進んでいくか?
最後のパネルディスカッションではいくつかのテーマで議論が交わされた。「ロボットの自動化はどのような分野で進んでいくか?」という質問については「ROIが出やすいのは毎日使ったり、頻繁に使う業務を自動化すること。年に一回、ひと月に一回しか使わないというのではメリットが少ない。その点で掃除や物流、警備などはすぐに費用対効果が出やすいので、ロボット化が進むだろう」、更には「ロボットが得意な単純・反復作業なら置き換えやすい」というのが共通の意見だった。

●AI×ロボットはどこまで人間の代わりになるか
「AI×ロボットはどこまで人間の代わりになるか」という質問に対して、SBRの吉田氏は「人間のようにできるものだと思わない方がいい」「介護を人間の代わりに全部やってくれるロボットは今後50年くらいかかるんじゃないか」とし、清掃もトイレ掃除やゴミの回収などは当分難しいが、床の部分はすぐにでもできる、という点から人間の代わりになるということではなく、数10%ならロボットができる、そのパーセンテージを増やしていく、という考え方が重要とした。小林氏もそれに同意するとともに「仕事や生活の中でロボットができること、自分がやりたいことを精査することで、生き方を考え直したり再認識する機会にもなると思う」と付け加えた。渋谷氏は「ロボットは人間の代わりにはなり得ない。ロボット化を進めると人間の凄さがわかってくる」とした。
「完全自動化」の姿を理想論として描きがちだが、実際にはロボットに向いている仕事と、人間でなければできない仕事を分担する「協働」が自動化の肝になってくる。清掃を例にすれば片付いた床が多い現場ではロボット化に向いていて、デスクやイスが多いところ、ソファーやテーブルの上等、ロボットが清掃できない場所は人間がやるという分業によって効率化を考えていく。

●ロボットに会話はできるのか?
「ロボットに会話はできるのか?」という質問に対して、吉田氏は「雑談や複雑な会話は人間のようにはいかない。しかし、シンブルな質問対応については可能だし、膨大な情報から回答を見つけるだすことは人間より向いている部分はあるだろう」とした。
小林氏は「AIは効果的に学習させる必要がある。会話においても高いレベルで行うようになるには時間がかかるだろう」、渋谷氏はランドマークタワーでの実験を踏まえて「ロボットが少し話せると、期待してしまって人間側が会話の内容をどんどん高度にしてしまう傾向にある。実験では"フランス料理はどこで食べられるの?"という程度の質問には答えられたが、人間側がその程度のレベルで会話してもらう配慮が、現状では必要」とした。

●身体的な能力や認知能力についてロボットの進化
「身体的な能力や認知能力についての進化」については、吉田氏は「ロボットの進化は顔、脚、手の順番で実現していくだろう。手は最も難しくて今は脚を実現するフェーズ」として、清掃ロボットの自律移動をそのひとつとして上げた。Whizは人や障害物を上手に避けて移動清掃するが実は人と物を識別はしていない。今後はその認識や識別が十分できる技術がこれから3〜4年の目標になり、それが公道での自動運転で使われていくだろうと語った。
小林氏は「アノーテション、世界にあるあらゆるものをラベル付けしていくことが重要になる。アノーテションを徹底・管理しない限り、いくらセンサーの性能がよくても実現は難しいので、優先度の高いデータから整理していくことがポイント」とした。
渋谷氏は「身体能力ではロボットがバク宙できるところまで来てしまっているが、本当に重要なのは実際に役立つことにそのロボットの能力を使うこと。それには実際に現場で使う人たちがどう使うのか、何に活用するのかを考えていくこと」と指摘した。

最後のテーマは「近未来、AI×ロボットによって社会はどう変わっていくのか」。
「少子高齢化・労働人口の減少など、日本は課題の先進国。これから数年でその課題をロボットで改善できれば、その技術とノウハウは海外に展開していける機会になる」(吉田氏)、「VRやロボットの進化によって、移動しなくてもいいことが生活の中に増えていくと感じている。遠隔操作技術が新しい世界観を作る」(小林氏)、「清掃・警備など現場は実際に多くの課題を抱えて困っている。実際の現場でロボットが役立つんだ、というに実証実験や成果を重ねることによって、5年、10年先はロボットが使いこなされ、存在があたり前になっている社会がやってくると思う。それはまさに日本の将来にとってチャンス」(渋谷氏)と、3人3様の視点で締めくくった。

(ロボスタ編集部)