アップル、ドイツ自転車道のリンゴ型ロゴに抗議。現地の観光協会は困惑
Apfelroute

アップルが自社のリンゴ型ロゴに類似した他社の商標を訴えることは珍しくありませんが、ドイツの自転車道向けにデザインされたマークの使用中止を求めていることが報じられています。現地メディアのWDRによれば、ドイツの地方自治区Rhein-Sieg-Kreisの左岸を通る全長70マイル(約112km)で、5月18日にRhein-Voreifel観光協会によって正式オープン予定の自転車道に用いられるリンゴ型のロゴが問題視されているとのこと。この自転車道はAlfterやBornheim、Meckenheim、Rheinbachといった地域をつなぎ、菜園や果樹園の木々の側を通る風光明媚にあやかって「Apfelroute」(リンゴの道)と名付けられています。

しかし、アップルはそのロゴが自社のそれに酷似しているとして、開発計画やロゴデザイン費用のほとんどを支払うEuropean Regional Development Fund(ヨーロッパ地域開発基金/EU内の開発途上地域などでの開発計画に対して無償援助を行う基金)に異議を申し立てているとのことです。

このロゴはすでにドイツ特許商標庁(GPTO)によって承認され、Apfelroute用のユニフォームや自転車ラック、サイクリングマップにも使用済み。それでもアップルを代理する弁護士はGPTOに商標の承認を取り消しを、観光協会にはロゴ使用の中止を求めています。

観光協会のEva Konrath取締役は「Apfelrouteは(アップル製品とは)全く異なる製品のみに使われますし、こんな巨大企業が我々を攻撃するとは信じられません」とコメント。そして現在、自転車道のみでロゴを使用することでアップルと和解を試みているそうです。

アップルがリンゴマークと類似した(と主張する)ロゴにつき、ドイツにおいて取り下げを求める例は今回が初めてではありません。2011年にもドイツ西部ボンにある家族経営のカフェがリンゴ型のロゴを商標登録したところ、取り消しを求めて裁判を起こしていました。なお、そちらは2013年にカフェ側の勝訴で決着が付いています。

Apfelrouteのロゴはリンゴマークと右上の葉っぱ、右側が空いていることはアップルのロゴと共通しているとはいえ、見間違えるほうが難しいデザインという印象があります。今回の件でも、ボンのカフェと同じ結果に終わる可能性が高そうですが、アップルのブランド力にあやかろうとする業者に対する「似たロゴを使うと訴訟の負担を強いられる」という抑止効果を狙っているのかもしれません。