超広角から50倍ズームまで使えるファーウェイ「P30 Pro」は究極の「旅デジカメ」だ:山根博士のスマホよもやま話
ファーウェイの2019年最初のフラッグシップモデル「P30 Pro」が発表されました。「P20 Pro」からの強化点はなんといってもカメラ。ズーム(望遠)は光学3倍から5倍へとパワーアップ、さらにハイブリッドで10倍ズーム、そしてデジタルは驚異の50倍ズームの性能を持ちます。発表会ではファーウェイのコンシューマービジネスグループCEO、リチャード・ユー氏がP30 Proで撮影したという「月」の画像を見せていましたが、これほどまでの高倍率ならデジタルズームでも「使いたい!」と思わせるほどの迫力がありました。

特に50倍のデジタルズームは使い方によっては強力な武器になります。下の写真は0.6倍広角と50倍ズームの比較。ここまでP30 Proは寄れてしまうのです。

P30 ProにはP20などと同様に被写体を自動判定するAI判別機能が搭載されていますが、P30 / P30 Proの発表会ではそれに触れられることはほとんどありませんでした。「ポケットから取り出し、被写体にカメラを向け、好みの画角でシャッターを切るだけで美しい写真が撮影できる」。ユーザーは難しいことを一切考える必要はないのです。

発表会の翌日、このP30 Proを片手にパリから高速鉄道に乗って2時間の街、リヨンを訪問しました。古い建築物や美術館が街中に並ぶパリとは違い、フランス第二の都市であるリヨンは高層建築物も少なく街並みの美しいところです。P30 Proを片手に写真を撮影してみると、P30 Proはまるで「旅行のためのデジカメ」と感じられるほど、旅のワンシーンを自由自在に記録することのできるスマートフォンだったのです。

パリの街からリヨンへ向かう際、郊外のディズニーランド駅から格安高速鉄道を利用した際に、ホームの先の線路が気になって5つのモードで撮影してみました。上の2枚が「超広角(0.6倍)」、「広角(1倍)」、下の3枚が「ズーム(5倍)」、「ハイブリッドズーム(10倍)」、「デジタルズーム(50倍)」です。



50倍はさすがに画像が荒れますが、何があるかを見るには十分でしょうし、三脚を使ったり被写体によってはもう少し見られる画像になるでしょう。リヨンについて街中で同じく撮影してみましたが、10倍ズーム(下中央)も十分いける絵が撮れますし、50倍にしてさらに細かいところを見てみよう、とついつい欲張ってデジタルズームでも撮影したくなってしまうほどです。



もちろん0.6倍は近い距離からだと左右がゆがみますし、50倍のディテールはつぶれ気味です。しかし広大な風景を撮影したいときや、遠くの被写体がどんなものなのかを確認したいときなど、スマートフォンのカメラをいろいろな用途に使い分けできるのは便利でしょう。



リヨン市内を見渡せる世界遺産の「フルヴィエールの丘」から街中を撮影してみました。遠くのビルに掲示されているロゴが確認できます。このような使い方が50倍ではできるわけです。



とはいえ普段は10倍でも十分強力。ステンドグラスを「1倍」「5倍」「10倍」で撮影してみました。逆光気味のステンドグラスをハイブリッドズームでもここまで写せるとは、なかなか優秀なカメラではないでしょうか?上が1倍、左下が5倍、右下が10倍です。



今までのスマートフォンでは、遠くが写せるとしてもせいぜい10倍のデジタルズーム程度。しかも画質は粗めですし、暗くなったりとあまり見たいと思う望遠画像ではありませんでした。ところがP30 Proは10倍でも綺麗なうえに、50倍でも確認用途に使えます。画質があまりよくないにも関わらず「50倍で撮りたい!」と思わせるのは、他のスマートフォンのカメラでは味わえなかった体験だからでしょう。

リヨンの街を歩いて写真を撮りまくりましたが、よく使ったのが0.6倍の超広角と10倍のハイブリッドズームでした。街中全体を取るときに0.6倍なら一歩、二歩と後ろに下がる必要はありませんし、10倍ズームは遠くのものを写すのに便利。丘にあるフルヴィエール大聖堂の外壁は0.6倍と10倍でこのように撮影できます。





筆者は普段あまり風景写真を撮らないのですが、P30 Proなら「撮りたい絵がすぐ撮れる」ので、いつもより多めに写真撮影をしながら街中を歩いていました。そうなるとホールド感のいいケースも欲しくなります。P30 Proにはシリコンケースや本格的な防水ケースが用意されていますが、ストラップで首からぶら下げられるような「カメラとして使えるケース」もぜひ出してほしいもの。それほどまでにP30 Proのカメラは旅に持ち出したくなること間違いありません。