漂流ゴーン問題でじわり輝き始めた「三菱」ブランド
「自社の不祥事など難局を乗り越えてきただけに、こうした危機的状況を立て直すことに関しては百戦錬磨だ」。三菱自と長年にわたり取引するサプライヤー幹部は、一連のゴーン問題での益子CEOの立ち回りをこう評価する。
三菱自としても不正調査の共有やゴーン被告の会長職解任などで、日産と足並みをそろえることを徹底した。また、益子CEOはスナール氏がルノー会長に就任した直後に電話会談し一気に距離を詰めた。スナール氏の初来日時は、三菱自株主として名を連ねる複数の三菱グループ首脳との面談を設定。利害関係者を巻き込む形で融和の土台を作った。
また、3社連合の中で三菱自の存在感は高まっている。大手自動車メーカーが米中市場の減速に頭を悩ませる中、三菱自は抜群のブランド力を誇る東南アジア市場で大きな収益をあげる。加えて米国市場や高級セダンから撤退するなど選択と集中をおおむね完了しており、戦略が明確であることも強みだ。
一連のゴーン問題は、こうした三菱自の特色を連合内で再認識する契機になった。日産、ルノーという大手2社との連合の中で埋没しかねない三菱自だが、日産・ルノー間の調整役としての能力と、東南アジア戦略を担う企業としての実力を高め、独自の地位を築き上げれば、3社連合、三菱自の双方にとってウィン―ウィンとなる。
(文=後藤信之、渡辺光太)

