メキシコ戦第2戦で4番に入ったオリックス・吉田正尚【写真:Getty Images】

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敵将は2戦目で4番に座ったオリ吉田正を絶賛「アメリカでプレーしている選手?」

 野球日本代表「侍ジャパン」は3月9日、10日に「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019」でメキシコ代表と戦い、1勝1敗で2試合の戦いを終えた。初戦はリリーフ陣が崩れて逆転負けを喫し、第2戦は4番に入った吉田正尚外野手(オリックス)が満塁弾を含む2安打5打点と活躍し、6-0で快勝。初戦は痛恨の敗戦となったが、第2戦雪辱を晴らす形となった。

 今秋のプレミア12、来年の東京五輪に向けて、最後の選手発掘の場として位置づけられたこのメキシコ戦。不測の事態などを想定し、さらには将来の侍ジャパンを担う若手に国際経験を積ませるために、多くの初招集選手を含む、若手でチームは編成された。まさに“ヤング侍”での戦いではあったが、果たして、対戦相手のメキシコ代表は、この侍ジャパンをどう感じたのだろうか。

 2試合を戦い終えたメキシコ代表のダン・フィロバ監督は「とてもいいチームだった。タレント揃いだし、アグレッシブなチーム。出塁すると、とても走塁もいい。素晴らしいチームだとリスペクトしていますし、また日本と戦えたらいいなと思います」と語り、第2戦で5盗塁を決めた日本の機動力を具体例に挙げていた。

 また指揮官は2試合で5打数4安打1本塁打6打点、打率.800を記録した吉田を大絶賛。「すごくいい選手です。コンタクトもいいし、スイングもいい、技術もある」とその力を認めると、「アメリカでプレーしている選手? まだ、できないのかな?」と報道陣に逆質問。日本でプレーしていると聞かされると「アメリカのチームが取りたいと言ってきているんじゃないかな? そういうことはあるの?」と笑い、「とても良い選手だ」と再び褒めた。

2戦目で2安打を放ったフアレス「私たち野球選手全員に対して暖かい声援を送ってくれる」

 第2戦で2安打を放ったルイス・フアレス内野手は日本の投手陣について「日本の投手は投げ方が複雑だと思っていた。直球も素晴らしいし、変化球もたくさんの種類を投げる」とコメント。さらには、日本の野球ファンに対しての好意的なイメージを語った。

「日本の野球ファンは、情熱あるし野球愛があるなと思いました。本当に素敵なことだと思う。僕は3年間くらい怪我でまともにプレーできなかったんだけど、私たち野球人というのは朝ご飯を食べても野球、昼ご飯を食べても野球、夜ご飯を食べても野球と、野球野球の毎日なんだ。そういう野球人にとってこんな素晴らしいファンを目にすることは素晴らしいことだと思う」

「自分の応援しているチームだけじゃなく、私たち野球選手全員に対して暖かい声援を送ってくれるのは素晴らしい。わざわざチケットを買って、この試合を見にきてくれている。野球に対する愛、野球が根付いている文化に、私に感銘を与えてくれた。日本でプレーできて嬉しかった。日本のファンは歌を歌う。私たちには歌ってくれないけど、その素晴らしい応援は忘れられない体験になったよ」

 侍ジャパンの中核を担うべきメンバーは招集を見送られ、若手中心のメンバーとなった侍ジャパン。京セラドームに集まった観衆は第1戦が2万8933人、第2戦は2万8622人とともに3万人に満たなかった。それでも、侍ジャパンの野球と、日本の野球ファンは、メキシコ代表チームの面々にポジティブなイメージを与えたようだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)