プロ麻雀リーグの聖地「Mリーグスタジオ」をレポート!
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2018年10月1日に開幕した「Mリーグ」の、東京・浜松町にある「Mリーグスタジオ」にお邪魔したのでレポートしたいと思う。同スタジオから、インターネットテレビ局「AbemaTV」で全試合の生中継を行っている。
プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の現場から
Mリーグは、麻雀のプロスポーツ化を目的に発足され、麻雀の競技化、健全化を図り、麻雀自体の社会的地位の向上および認知の拡大、新たなファンの獲得を目指している。同スタジオはMリーグ専用スタジオとして、新たな競技スポーツとしての麻雀を、スタイリッシュでスケール感のある映像とともに、競技中の緊張感漂う空気や臨場感をリアルタイムで配信している。
また、同スタジオでは日本で初めて、英国Mo-sys社のリアルタイムカメラトラッキングシステムStarTrackerを常設。AR技術を用いることで、選手や試合情報のテロップのデザイン性を高め、麻雀を競技スポーツとして楽しんでもらう放送を目指しているという。
Mリーグスタジオ試合(麻雀)が行われる約170m2のスタジオ中央には麻雀卓が設置され、その周りには麻雀牌と選手を捉えるため、パナソニックのリモートカメラAW-HE70が9台設置され、さらに天井にも麻雀卓を映すARW-HE70が設置されている。スタジオ内を動きながら会場の雰囲気を伝えるクレーンカメラにはソニーのPXW-X320を採用し、StarTrackerのトラッキングセンサーを追加している。
照明の設置方法にもこだわりがあり、手で手元の牌に影ができて見えにくくならないように設置されているMリーグの全試合を同スタジオから生中継するため、放送局に近いクオリティの機材が選定されている。また、メンテナンス性を考慮し、トラッキングシステムを毎日のCG位置調整が不要でメンテナンスも容易なセンサータイプを選択したという。
■主な導入機材
- リアルタイムカメラトラッキングシステム Mo-Sys社Star Tracker
- RCG送出機 Brainstorm社eStudio(MBP-2244WSビデオカード付)×2台
- キャラクタージェネレーター 朋栄 EzV-300
- ビデオスイッチャー 朋栄 HVS-490
- マルチチャネルシグナルプロセッサー 朋栄 FA-505
今回導入した設備のポイントとして、
(1)Mo-Sys社のStar Trackerでカメラの動きとARを連動
(2)リアルタイムCG送出にBrainstorm社のeStudioを活用
(3)EzV-300により、テロップを1台で2系統送出
が挙げられる。
(1)Mo-Sys社のStar Trackerでカメラの動きとARを連動
PXW-X320に取り付けられたMo-Sys社のStar TrackerStar Trackerを使用した専用スタジオの常設により、日々のCG位置の調整作業を行う必要がなくなる。床にマーカーを配置し、センサーを下に向けて使用することもできるが、同スタジオでは下(床)を広く見せたかったため、天井にマーカーを設置したという。
スタジオの天井にはマーカーが配置されている。このマーカーをベクトルデータで計測しており、電源をいれただけでキャリブレーションが完了するマーカーのシールはあえてランダムに設置することにより、カメラ位置がわかり、カメラの高さが上がればマーカーとの距離も近くなるため高さも表現できる。スタジオの天井の高さが段になっている(高さが違う)箇所もあるが、高さに応じた大きさのマーカーシールがあるため、途中で高さが変わっても対応できているとのこと。
スタジオで使用されているクレーンカメラAR技術により合成したCGをカメラの動きと連動させることが可能また、カメラの動きとCGを連動させるAR技術により、カメラ位置(X/Y/Z)や、向き(パン/チルト/ロール)、ズーム、フォーカスを検出してトラッキングデータを出力している。そのため、AR技術によるリアルタイムCGとクレーンカメラによる自由なカメラアングルとを連動させることが実現できている。
(2)リアルタイムCG送出にBrainstorm社のeStudioを活用
2つのプログラムが同時に作れるように、21サブ、22サブと2つの撮って出しシステムがあるスイッチャーは朋栄のHVS-490eStudioによりリアルタイムCG送出を行っている。朋栄のMBP-2244WSビデオカードを挿入したターンキー構成で、ワークステーション1台でカメラの実写映像とRCGの合成を実現している。Star TrackerのトラッキングデータをLAN経由で入力し、カメラの動きをCGに反映している。カメラの動きに追随したCGを合成した映像をリアルタイムで出力している。
スタジオ内にある9台のPOVCAMをリモコンで操作している麻雀の点数などもリアルタイムで変更していくAR/RCG送出コントロール画面は、専用のコントロールソフトをテレビ朝日クリエイトおよび、テレビ朝日コーポレートデザインセンターが制作している。
得点のCGは、Brainstormのリアルタイム性を活かし、動き一つ一つに細かいアニメーションが施されている。リーチ時にはインパクトを出すため、ビデオウォールを用いたスイッチ演出で他のCGのアウトとカメラスイッチを同期させてからリーチCGを出している。
MBPボードやBrainstormの機能を用いて、1台の送出機で2カメ分の合成映像を出力。2カメ目はビデオウォールを背景に引いた固定カメラの合成映像となっている。
万が一RCG用の機材が故障した場合でも、AR用の送出機をRCGにも切り替えられるようなバックアップ体制となっている。コントロールソフトからCGシーンを切り替えられるようにしており、競技データの共有も図っているという。
(3)EzV-300により、テロップを1台で2系統送出
EzV-300では3D効果をくわえたテロップを作成。リモコン操作でテロップ送出を行っている。GPIポートに接続した機器から送出制御も可能。