“兵役免除”へ燃える韓国、日本のアジア大会制覇の鍵は? 英記者「圧倒的な差はあるが…」
“アジアサッカー通”のチャーチ氏が、日韓戦となった決勝を展望
森保一監督率いるU-21日本代表は29日、アジア大会男子サッカー準決勝のU-23UAE代表戦に臨み、途中出場のFW上田綺世(法政大)が決勝ゴールを決めて1-0と勝利し、U-23韓国代表と激突する決勝戦へ進出した。
これまでワールドカップ(W杯)を6大会取材し、“アジアサッカー通”としても知られる英国人ジャーナリスト、マイケル・チャーチ氏が宿命の日韓戦となる決勝戦を分析。「相手にとっては金メダル以上に大事なもの」という兵役免除獲得に燃える韓国との宿命の対決は、“森保チルドレン”の成長を促す最大の起爆剤になると予想している。
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森保監督にとっては理想的なシナリオなのではなかろうか。指揮官はU-21代表の若き才能たちが、アジア大会の戦いを通して手にできる国際経験という大きな収穫について語っていた。
そして、決勝戦では準決勝でベトナムを3-1で倒した韓国と戦うことになった。両者とも負けられない“日韓戦”。相手はいつも以上に気合いと執念を燃やしてくるはず。今大会で圧倒的な経験値とタレントを揃えた相手との真剣勝負で、日本の若い選手が手にできる収穫は今後のキャリアに間違いなく生きてくるだろう。
日本よりも年代が一つ上のU-23韓国代表は、ロシアW杯メンバーを4人も擁している。オーバーエイジ枠として参戦しているA代表エースのソン・フンミン(トットナム)と守護神チョ・ヒョヌ(大邱FC)、そしてU-23世代のイ・スンウ(ヴェローナ)とファン・ヒチャン(レッドブル・ザルツブルク)だ。負傷によりロシア大会直前に離脱したキム・ミンジェ(全北現代)もいる。
何よりも、彼らには金メダルよりも大きなモチベーションがある。それは「兵役免除」だ。韓国人の男性は28歳の誕生日までに21カ月間の兵役に従事する義務がある。26歳のソン・フンミンは、これまで兵役免除を手にする機会を逃してきた。これがラストチャンスとなる。
兵役となれば、現在所属するトットナムでの輝かしいキャリアを、一度ストップしなくてはいけない。心身両面で充実する20代後半の時期を、欧州トップレベルの舞台で過ごすことができるのか否か。兵役免除への執念は、決勝戦でソン・フンミンとチームメイトをもう一段階上のレベルに押し上げるのではないだろうか。
勝機を見出すなら、ゴール前の精度に「ドラスティックな向上を…」
万全のメンバーとモチベーションを最高に高めた韓国を相手に、日本は修正しなければいけないことがある。準決勝のUAE戦で、日本の攻撃陣はただいたずらにシュートを外し、支配力を浪費してしまった。
日本サッカー界の長年の課題でもあるフィニッシュ精度は、今大会を通じて乏しいものだった。経験値という点で圧倒的な差がある韓国との一戦で勝機を見出そうとするなら、ドラスティックに向上させる必要があるだろう。
決勝での日本は、これまで以上に守備的な忍耐を求められるだろう。粘り強い守備は、監督が選手に常々指導してきたものでもあり、UAE戦よりもゴール前で自信を持ったアプローチが望まれる。日本が金メダル獲得の偉業を成し遂げようとするなら、ゴール前での冷静なアプローチ、一瞬の隙を身逃がさない抜け目なさこそ重要になるだろう。
[記者PROFILE]
マイケル・チャーチ。英「PA通信」のアジア支局長、AFC機関紙「フットボール・アジア」編集長を歴任。ワールドカップとアジアカップをそれぞれ6大会取材したスポーツジャーナリスト。かつては東京在住で、現在は香港に拠点を置き、アジアサッカーを20年間カバーしている。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)

