米国発の貿易摩擦…自動車業界に立ちこめる“霧”
日産自動車も通期では原材料費が前期比800億円の営業損益の悪化要因になると見込むが「市況価格はまだ上がっており、800億円で収まらない懸念がある」(田川丈二常務執行役員)と話す。
トランプ政権は3月に、米国の生産者を守ることが安全保障上の利益につながるとし鉄鋼とアルミの関税を引き上げた。これに伴い輸入品以外の価格も上がっているのが実態で、現地調達するアルミや鉄鋼も費用増が避けられない状況。白柳トヨタ専務役員は「(価格上昇の背景には)需給以外のそういった(トランプ関税)要素もある」と指摘する。
またトランプ政権が検討する自動車・自動車部品の追加関税も懸念材料。発動された場合、デンソーは年700億―800億円程度の負担増になるとし、トヨタは米国生産する主力セダン「カムリ」のコストが1800ドル上がると試算する。吉田守孝トヨタ副社長は「当社ですべてコストアップをカバーできない。価格に転嫁すると販売台数は減るだろう」と表情を曇らせる。
3日までに、上場乗用車メーカー7社のうち、スバルを除く6社が18年4―6月期決算を公表しトヨタ、ホンダ、スズキ、三菱自動車の4社が増収増益だった。この好調を維持するには、米国発の貿易摩擦が緩和に向かうかが重要な要素の一つになる。
(文=後藤信之)
