カキ養殖や酒造にも。品質工学で地場産業を活性化
品質工学は製品開発や製造の良しあしを効率良く評価し、品質やコストの優位性を高める技術手法。技術者が主に活用するため、モノづくりの盛んな地域で数多くの地方研究会が活動している。
産学官一体
「カキ養殖や最近は酒造にも使われ、研究開発に役立っている」と説明したのは、マツダの車両開発本部首席エンジニアで広島品質工学研究会の武重伸秀氏。マツダは品質工学を燃焼効率の高いエンジン開発などに生かし成果を上げてきた。部品の協力メーカーも、研究会に取り込む。
マツダを中心に産学官で地域経済を引っ張る体制を整え、地場産業にも呼びかけを始めた。カギは、企業が研究会と守秘義務契約を結び安心して開発テーマの相談を受けられる方式を採用したこと。「品質工学の考え方を教えるだけで、半年で商品化できた事例もある」(武重氏)。他の技術手法も使い、産学官一体で地域経済の競争力を高めている。
少ない実験数で品質工学を実施できる手法の「近直交表」を紹介したのは、アルプス電気の角田製造部主任技師で静岡品質工学研究会の貞松伊鶴氏。品質工学は実験の多さが敬遠される場合もあるため、研究会で数理を研究し近直交表を実用化した。貞松氏は「計算式を公開し、企業の活用事例も増えてきた」と手応えを示す。
陰りも…
しかし、地方には陰りもみえる。「会員が減り固定化し研究事例も少ない」、「研究会の事務局を置く公設機関から自立を促され、事務局業務の継続を断られた」と、苦慮するケースも目立った。これに対し関西品質工学研究会(堺市堺区)会長の鉄見太郎氏は、「公設機関に成果を明確に報告し、地域企業を支援する協力関係を築く必要がある」と提言。各地の研究会が交流し、アイデアを共有する考えも示した。地域貢献こそが地方研究会存続のカギを握る。
(文=大阪・田井茂)
