金型修理は手先の器用さだけでなく、金型構造と素材、応力、歪みの知識が必要。新型の製作よりも難しい分野。ただ同社の川勝親社長は「将来的には3Dプリンターに置き換えられる」とし、後継者も新入社員も求めない。メーカー就職を目指し「モノづくりと切り離せない金型を学びたい」長谷川さんに、川勝社長は「肥やしになれば」と、貴重な技能の一部を教えた。

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 東大阪市内にある城東工科高校の木村充基さんは「社会や仕事のイメージをつかみたい」と、自動車エンジンの試作歯車を手がける繁原製作所(同)に3日間通った。

 同社は加工と測定の豊富な設備を保有。高性能歯車を短期間に試作し、工程を提案できる。採用を意識し、熟練工が仕事内容やこだわりを木村さんに伝えた。繁原秀和取締役は「学生から中小企業を探すことはない」とし、「企業探しに困る学生に、学校が『こんな企業がある』と声をかけてくれれば」と期待する。

 第1回東大阪モノづくり体験塾に参加したのは、同じく東大阪市の布施工科高校と城東工科高校の高校生12人、近畿大理工学部生12人、受け入れ企業17社。学生や企業それぞれに目的や思いがあるように、大学の狙いももちろんある。

 学生が企業に入り込み、課題を大学に持ち帰る。その課題を大学の設備を使い分析、測定し結果を企業に戻す。この循環をつくるという。学生も企業も学ぶ。

東大阪モノづくり体験塾代表(近畿大学理工学部教授)・西藪和明氏に聞く
 ―学生と企業双方が学ぶ基盤として機能しています。
 「東大阪は技術を持つ企業がたくさんある。しかし町工場がすごいとは限らないし、学生も授業だけでは現実のモノづくりに対応できていないこともある。企業と学生は互いに学ぶべき点が多い。中小企業は長年の経験だけでなく、科学的な説明力や改善に関する分析、測定を必要とされる時代に来ている」

 ―具体的には。
 「多くの場合、大企業の現場技術者は大卒。理論的な説明を欲するが、中小企業は普段の現場の言葉でしか語らない。学生を受け入れる体験塾を通じ、外部の人に伝える手法の確立と、大学を活用した新規開発や品質改善につなげてほしい」

 ―学生にとっても貴重な体験の場です。
 「学生は実際の現場の技術を深く学び、大学の設備を使ってより良くする視点を持って研究し、社会にフィードバックしてもらう。就職に関しては、その企業に就職しなくても将来的に仕事で役に立つことがある。例えば溶接や金型、熱処理の技術を持つ企業がどこにあるか把握しておけば、家電や自動車などのメーカーに就職した際、新たな協力会社を探す上で有利だ」

 ―産学連携を起こす“装置”の役割が期待されます。
 「体験塾をきっかけに学生と社員がつながり、現場レベルの連携が始まることを期待している。第1回の体験塾はまだ原型。今後は経済、経営、デザインなど文系学科にも入ってもらい、さまざまな観点からモノづくりに変化を起こしたい。近畿大以外の大学にも協力を要請する。東大阪や近隣都市全体をモノづくり人材と企業が成長する場とし、そこかしこで産学連携が始まる環境を目指す」
(文・日刊工業新聞者東大阪支局長・坂田弓子)