ルイス・ネリ【写真:Getty Images】

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5階級制覇王者のホルヘ・アルセ氏がネリを擁護、「ルイスの身に起きたことは不公平だ」

 プロボクシングWBC世界バンタム級タイトルマッチで山中慎介(帝拳)を2回TKOで破ったルイス・ネリ(メキシコ)。前日計量での体重オーバーで、王座をはく奪され、WBCからは無期限資格停止処分と日本ボクシングコミッション(JBC)からは日本でのボクシング活動永久停止処分を課された。

 昨年8月にはドーピング検査で陽性反応が検出されるなど立て続けにトラブルを起こす問題児に対し、メキシコの伝説の王者が持論を展開。「JBCの処分はちょっとバカげている」と異例の擁護に出ている。米ボクシング専門サイト「ボクシングシーン.com」が報じている。

 2度に渡る愚行でボクシング界の問題児となったネリ。WBCの事情聴取を受け、改めて処分決定を待っている身だが、メキシコ人初の5階級制覇王者が擁護に出た。

「ルイスの身に起きたことは不公平だ。ウエートを作らなかったことで、みんなが無責任だと彼を呼んでいる。どれだけ我々が傷ついたのかわかっていない。水も飲めないんだ。彼はスケジュールを変更して日本に行った。本当は違うのに、彼らは悪いイメージを植え付けたんだ」

 こう持論を展開したのは元5階級制覇王者のホルヘ・アルセ氏だった。「トラビエソ(やんちゃ坊主)」の異名を持ち、2014年に現役引退したメキシコの英雄で、山中とのタイトルマッチではネリの応援のために来日していた。

原因はネリ自身ではなく環境?アルセ氏は「彼は環境によって失敗することになった」と持論を展開

 山中との第2戦目の前日計量で、ネリは前日の1度目の計量で5ポンド(約2.27キロ)も体重を超過。バンタム級よりも2階級も上のフェザー級のリミット内という異常事態で、王座を剥奪されていた。

「計量で目標を設定しながらもミスをしてしまうことは多いんだ。彼はある栄養士と契約して、うまくいかなかった。彼は若く無敗だ。そして、まだ船出したばかりだ。彼は環境によって失敗することになったんだ。日本で永久活動停止処分を受けたけれど、少しバカげている」

 アルセ氏はこう主張し、JBCの示した厳格な態度を批判。また5月5日にラスベガスでミドル級3団体王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と対戦するメキシコの“カネロ”こと、サウル・アルバレスが、ネリ同様にドーピング検査で陽性反応を示したことにも言及し、「多くの人間が間違った情報を与えられている」「我々の問題ではないのに、批判している人間は愚かにみえる」と擁護を繰り返している。

 トラブル続きのメキシコボクシング界。だが伝説の元王者は自国の新鋭をかばいたいのか、身びいきにも聞こえる持論を展開していた。ネリ、そしてアルバレスの今後は不透明だが、海外、そして日本の世論の感覚とはややずれがあるようだ。(THE ANSWER編集部)