「将来的には核融合炉発電というコンセプトにたどり着くのかもしれませんが、その前段階ではより安全性の高い原子炉を追求しなければなりません。我が国こそ小型モジュール炉や高温ガス炉などあらゆる可能性を追求し、原子力の安全性についての技術開発の可能性を探り続けなければなりません」

 「日本が自給できるエネルギーは、再生可能エネルギーと原子力しかありません。これら非化石資源による発電の比率は、東日本大震災以前は合計35%にのぼりましたが、現在は17%に落ちています。政府は2030年に合計44%という目標を掲げていますが、現時点では達成はかなり困難な状況にあります。エネルギーそのものを自給できないのであれば、せめて技術力くらいは自給しなければなりません。日本は発送電技術まで外国から買う余裕はありません。しかし発送電技術自給率について、東日本大震災以前はほぼ100%でしたが、2030年、2050年はどうなるのか。その心配が顕在化しようとしています」

技術の自給率維持に危機感
 ―発送電技術の自給率が下がっているということですか。
 「太陽光発電を考えてみてください。コマツは太陽光パネルに使用するシリコンを薄くスライスする装置の世界的メーカーで、富山県で製造していますが、出荷先の大半は中国です。ほかの日本企業が強い製造装置やガラスなどにしても、その多くは生産を中国に移管しています。もともと国産技術の固まりだった太陽光発電も、中国シフトにより日本から失われつつあるのが現状です」

 「実はドイツはこのことに早く気がついて、太陽光から風力やバイオマスなどに投資を移しているのです。風力発電技術は欧州が大きく先行しています。日本がリードしているのは石炭火力発電と原子力発電技術ですが、今のような状況で原子力発電技術を若い人が勉強しようと考えるでしょうか。石炭火力発電にしても、こんなに目の敵にされては力を入れにくい。発送電技術自給率も極めて心配です」
 
 ―エネルギー政策を巡り、世界各国が熾烈な競争を繰り広げています。日本はどのようなポジションを取るべきでしょうか。
 「2014年に策定したエネルギー基本計画でエネルギーミックスを決めたように、当分は『S+3E(安全性を前提にエネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適合)』のバランスで考えるしかありません。エネルギー、CO2(二酸化炭素)削減とともに、国の国際競争力と経済力を維持できた上で、初めてバランスを議論できる。経済力を失うという、大きなリスクを取ることはできません。国がじり貧になっては元も子もありません」