「昔はオレもワルやってたんだよね〜!」と懐かしくお読みいただいている「Play Back The OPTION」。

昔のOPTION誌を懐かしみ、熱かったあの頃がプレイバック! 読んでいるうちに再燃されている方がいらっしゃれば「マンマとハマっていただきシメシメ!」、狙いどーりです!!

さて。今までご紹介してきた記事は谷田部最高速系が多かったのですが、当時、同等か、それ以上に熱かった「DRAG」の記事も多かったんですヨ。谷田部テストでショップやオーナーカーのゼロヨン計測も行っていましたが、サーキットのストレートで、ギャラリーの熱い視線を受けつつ全開するDRAGレースは、格別なもの。0-400mを一気に駆け抜ける……一瞬の男のロマンですね。

まず最初に掲載されたDRAGレースは、今回紹介する1981年9月16日に富士スピードウェイで行われた「スキャットDRAGレース」です。

スキャットDRAGレースってなんだ?

1980年代当時、東京・用賀に「スキャット」というフォルクスワーゲン専門のチューニングショップがありました。ソコの社長さんがモータースポーツ、特にDRAG(ゼロヨン)大好き! 「じゃいっちょ、自分トコでDRAGレースを開催しちゃおう!」 ってことから始まったのが、この「スキャットDRAGレース」です。掻い摘んで言うと。

では、記事を見ていきましょう!!

「待ちに待った、秋の名物ゼロヨン大会。新記録や自己最高を狙って、改造マニア自慢のマシンが富士のストレートに炸裂した。」

3059ccZ by 柿本由行
国産車クラス 1位 タイム:12秒28

柿本Z、国産クラスのトップタイムをマークだ!

グッドイヤーのレーシングスリックをうまくグリップさせ、矢のように飛び出す柿本Z。12秒28! 記録が出た!! さすが関西の雄、安定感も抜群だ。

マシンは47年式ZLがベース。オリジナル・ヘッドのエンジンは3059cc。圧縮比は10.0。ソレックス50φを装着し、レース用CDIでレブリミットは9000rpm。パワーは推定300psだ。クラッチはボーグ&ベック。ミッションはレース用オプション1。デフはLSDを組み込む。足もレース用をチューニング。タイヤはフロントがピレリP7、リヤがグッドイヤーのスリックだ。ボンネットはFRP製。

パブリカ・トラック by 橋本秀樹
国産車クラス 40位 タイム:14秒38

CS・F-1チューンのL型トラック!

ファニーカー・ドラッグを思わせるスタイリングはシビレもんだゼ。フィニッシュもバツグンだ。チューニングは関西、カーショップF-1。

パブリカベースだからエンジンは当然、トヨタ系かと思うと、これがなんと、日産の輸出用L28。ヘッド、ポート研磨済み。ハイカム、ソレックス44φを装着する。ミッションは240Z用だ。タイヤが本格派。フロントは6JにピレリP7を履き、リヤは15Jにダンロップ・レーシングだ。軽量ボディでこのタイムはイマイチだが、赤丸期待!

死喰魔カマロ by 小原逸男
米国車クラス 1位 タイム:11秒72

本日のトップタイムが出た!

これまで12秒フラットがベストだった、注目の死喰魔カマロは11秒72をマーク、アメ車1位に輝いた。マシン自体は本場で走っていたドラッグスターそのもの。

350(5735cc)スモールブロックベースのエンジンは、ローラーロッカー、ローラーカムのドラッグオンリー仕様。レブリミット8500rpmで500ps以上を発生する。ミッションは4速MTで、クラッチともドラッグ専用。タイヤは二重内圧式のファイアストン・ドラッグスリック。なにしろ、すべてにテクニックの要求されるスーパーマシンなのだ。目標10秒台!

カローラ・レビン by 青木徹治
国産車クラス 25位 タイム:13秒42

体を震わせ、トラスト・レビンが加速!

トヨタ系で気を吐くのが、トラストチューンの1750カローラだ。圧縮比11.8、ソレックス50φ、カムが320Rでポートは40φ。トラスト製75φメガホン・エキゾーストが迫力!

足まわりはTRD、ホイールはフロント5.5J、リヤがテクノ12J、タイヤは265のレーシングだ。一体形成FRPフロントカウルがすごい。リヤタイヤを震わせながらのスタートが大迫力の、13秒42。

デ・トマソ・パンテーラ by 近藤康男
米国車クラス3位 タイム:12秒92

実力、大発揮!

ブラック&ホワイトのパンテーラは、アメ車3位。クリーブランド351を圧縮比10.5のピストン、メカニカル・タペット、ホーリー850ダブルポンパー、エーデルブロックマニホールド、マロリーCDIなどでチューン。約400psを発生する。

タイムから察しても、この数値は掛け値のない実力だ。タイヤはP7の285と、街乗り仕様にもかかわらず、抜群のスタートで13秒を破ったのは立派!

ファミリア13B by 鈴木 浩
国産車クラス48位 タイム:15秒97

どーした、雨宮チューン13B!?

ファミリアのボディに13Bサイドをブチ込んだスペシャルだ。エンジンはバリバリの雨宮チューンで、レブリミットは1万rpm! ミッションはRX-7のもの。タイムはなぜかド不調の15秒97……。

ポルシェ・カレラRS by 武田俊則
欧州車クラス 2位 タイム:11秒96

フルチューン武田ポルシェ、惜しくも2位!

自己ベストをたたき出したのが、このポルシェ。フルチューンのRSRエンジンを超軽量ボディに搭載。

3Lレーシングマシンのメーカーデータを上回るゼロヨンタイムは立派だ。目標の12秒台半ばのタイムを一気に短縮した。スタートが決まればさらにタイムアップ確実!

VWフライング・ミッキー by 石田信広
欧州車クラス 1位 タイム:11秒79

超ドラッグ仕様がクラストップに輝く!

ヨーロッパ車クラスは、本命ワーゲン・ドラッグスターのフライング・ミッキーが優勝した。エンジンはフラット4のフルチューン。アメリカはFFエンタープライズのドラッグチューンユニットで、200ps/1万rpm!!のパワーを2Lの排気量で得る。

ボディ前部はやはり、アメリカ製のドラッグFRPパーツ。ルーフは低く切りつめられ、徹底した軽量化で車重は600kgと超軽量だ。タイヤはミシュラン135をフロントに、リヤはミッキートンプソンのドラッグスリック650-15。フロントアップ防止用のウイリーバーが泣かせる。

GTS仕様Z by 光田勝利
国産車クラス 2位 タイム:12秒44

黒金Z、メチャ重ボディにも負けず2位GET!

M.VERY.SPECIALを自認する、MレーシングのシンボルカーGTS仕様Zが実力を発揮、12秒44をマークした。鉄製オーバーフェンダーはド迫力だが、本来は最高速用だ。ゼロヨンじゃ重いだけ。とにかく1tを超えるメチャ重いだけ。

とにかくこのボディでこのタイムだから、完全に参るゼ! エンジンは3131cc、キャブはお得意のウェーバー48φだ。カムはマル秘だが、ムチャクチャ大きい。ステンレス製のタコ足に78φのメガホンでパワーは推定350ps! 足はコニに日産レース用コイルで固める。タイヤはフロントがピレリP7・205/50VR14、リヤは特製レース用ホイールにダンロップ・レーシング305/635-13ウエット用を履く。

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モノクロページの速報で掲載された、OPT初のスキャットDRAG紹介記事でした〜。

今、DRAGレースが行われているのは、サーキットでは静岡・富士スピードウェイ、兵庫・セントラルサーキット、大分・オートポリスなど。北海道や茨城などの飛行場は使用不可になってしまっているところが多く、なんといっても宮城・仙台ハイランドDRAG専用コースが消失してしまったことは、関東や東北のドラッガーにとってはイタイです。

しかし、栃木・もてぎサーキットの、オーバルコースのストレートを使った、ゼロヨンではなくゼロサン(0-1000ft=約300m)を競う、もてぎサーキット主催のシュートアウトや、トラスト主催のトラゼロなども行われています。

そして、今年11月にはOPTION誌と姉妹誌Gワークス誌主催のスーパーDRAGフェスティバルが、兵庫・セントラルサーキットにて開催されるなど、まだまだ熱いDRAGの世界。

今回紹介した1981年に出されているタイムは、いまやストリート仕様でもクリアできてしまうほどの進化を遂げているクルマのクオリティ&パーツの完成度! 変わらないのは、タイヤスモークと濃い目のガスの心地よい香り! ギャラリーするだけでも十分、楽しめますよ!

次回もまたまた熱〜いDRAGネタ。Daiちゃんが、またもや!? やらかしています。

[OPTION 1981年11月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

OPTIONは最高速だけじゃない! スキャットDRAGも熱かったあの頃……【1981年11月号より】(http://clicccar.com/2017/10/23/523075/)