「彼女は一歩も引かない」 初Vの奥原希望にリオ五輪銀メダルの好敵手も脱帽

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世界選手権決勝、“女王”の座を懸けた戦いは最終ゲームにもつれこむ死闘に

 バドミントンの世界選手権(グラスゴー)は27日、女子シングルス決勝で世界ランキング12位の奥原希望(日本ユニシス)がリオデジャネイロ五輪銀メダリストのシンドゥ・プサルラ(インド)を2-1で破り、日本史上初の同種目制覇を成し遂げた。熱戦を演じたライバルは「彼女が一歩も引かないということを理解した」と奥原の精神力に脱帽したという。インド紙「インディアン・エクスプレス」が報じている。

 “女王”の座を懸けた戦いは、文字通り死闘となった。

 序盤から一進一退の攻防。第1ゲームを21-19で先取するも、続く第2ゲームを20-22で奪われ、勝負は運命の最終ゲームへ。ポイントが入るたびにお互いに膝に手をつき、コートに倒れ込む激しいラリーの欧州の末、奥原が22-20で第3ゲームを奪い、2-1でプサルラを撃破した。

「どちらが勝ってもおかしくない試合だった。負けることはショックだけど、あんな死闘の後にはどんなことでも言える。均衡した試合で、第3ゲームは20オール(20-20)になった。全てのポイントがタフだった。どちらも簡単に明け渡さなかった。世界選手権の決勝で、どちらも金メダルを目指していた。でも、最後の瞬間に勝負が決まってしまった」

 記事では、プサルラが決勝戦を回顧している。

 優勝が決まったチャンピオンシップポイントはロングラリーとなり、奥原がフォアでフワリと浮かせたショットにプサルラのラケットはわずかに届かなかった。

「今日は彼女の方がより大きな自信があったかもしれない。全体的に良かった」

 左手で力強くガッツポーズを決めた奥原に対し、プサルラは体を深く折り、うなだれた。笑顔で握手を交わし、奥原の初優勝を称えると、会場のスタンディングオベーションに深々と一礼し、感極まるライバルをコートサイドで悔しそうに見守っていた。

「彼女との試合は簡単にはならないと分かっていた。彼女とはいつも長時間の試合になる。それを想定して準備してきた。でも、最終的にはどちらが勝ってもおかしくない試合だったけれど、勝ったのは彼女だった」

 記事では、プサルラがリオ五輪準決勝でも対戦し、撃破した奥原の強靭なメンタルを認めている。そして、「どちらも自信を持っていた。長丁場の試合には慣れている。でも、今日は彼女の方がより大きな自信があったかもしれない。全体的に良かった」と称賛し、最後に言葉を続けた。

「ロングトスとドロップショットが続いて、身体的にも精神的にもタフな試合だった。最終的に彼女が一歩も引かないということを理解した」

 勝負を分けた奥原の精神力と粘り強さに、ライバルも脱帽しきりだった。