最近、よく耳にすることが多い「エシカルファッション」。

ファッションへの意識の高い方なら馴染みのある言葉かもしれませんが、その定義は曖昧。聞き慣れない言葉のせいで、イマひとつ、正しく理解されていないようにも感じます。

エシカルファッションってつまり、どういうもの?
通常のファッションとは何がどう違うの?今回はエシカルファッションについて、改めて紹介しようと思います。

エシカルファッションとは正しく、道徳的な服


Ethical(エシカル)は直訳すると倫理的・道徳的という意味。

エシカルファッションは、この言葉から、“正しく、道徳的な生産過程で作られた服”という意図を示しています。

この正しく、道徳的な生産過程とはどういうことかーー。

例えば自然環境に良い素材を使用した服や、ゴミとなって廃棄される素材を再利用してファッションへ昇華させる(アップサイクル)など、生産において道徳的な観点をもって作られているかということ。



 

エコファッションよりさらに「ブラックな部分」を排除


自然に良い素材を使った服、廃棄物を再利用してつくる。

こう聞くと「あぁ、エコファッションか」と納得する方も多いかもしれません。でも、厳密に言えば、エコファッションとエシカルファッションは定義が違います。

エコファッションは自然環境に良い素材を使用したり、ゴミを出さないというあくまで地球環境に良いものを取り扱ったりすることを目的としています。エシカルファッションはそうしたエコ的な活動だけでなく、生産過程においてのブラックな部分を全て排除しようという考えのもと、作られています。

例えば、ファストファッションは膨大な服を安く大量生産するために、作っている生産工場は過酷な労働環境を強いられている。安く、かわいいアイテムが手に入るのは私たちにとっては嬉しいことですが、その裏側で作り手が辛い思いをしているという、この環境を見直そうーーこの活動こそがエシカル本来の定義。



無駄に服を買い、無駄に捨てていませんか?



エシカルという定義を認知、拡散させている有名な女優として挙げられるのが、エマ・ワトソン。彼女は兼ねてから女優活動のほか、エシカルへの高い関心を持ち、本人がプロデュースするエシカルファッションブランドを立ち上げるなどとても意欲的です。

今年大ヒットとなったディズニー映画『美女と野獣』の劇中で使用される衣裳は、彼女の強い希望で、自然環境に優しい衣裳を制作したといわれています。

そんな彼女が常日頃から語るは、無駄に服を買うことで、余計なゴミを増やし、それが地球環境の破壊に繋がっているということ。

無駄に服を買うのではなく、心を込めて良いものを買う。
エシカルはそうした私達、消費者の「物を買う」ことへの意識の向け方を指南しているともいえます。



手間をかけて服を手にしよう

 
エコファッションというと、どうしても優しい素材しか使ってはいけないのかな? とファッションへの制限を感じてしまい、結果として持続的な活動には繋がらない、ということがあります…。

全員が全員、無理に、環境にやさしい物だけを手に入れようという気持ちでいる必要はないと思います。ただ、「自分自身が取り組めるエシカルとは何なのか」を常に考えることは必要ではないでしょうか。

私の場合は、着ない服を買わない。無駄な買い物をしないよう、衝動買いはせずに本当に欲しい服だけを吟味して買う。すぐに生地がヨレてしまう安い服より、少し高くても良い素材の服を買う。そんなルールを決めています。

たとえ買う服がエコなものでなかったとしても、それはエシカルな買い物なのかもしれません。ぜひ、皆さんも「エシカル」という観点から自身の買い物のしかたについて見直す時間をつくってみてください。