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『白雪姫』に『ピノキオ』、『ダンボ』や『アラジン』、『リトルマーメイド』、そして『アナと雪の女王』。

これらはすべて「ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ」が送り出した名作の数々です。1928年にウォルト・ディズニー氏がミッキーマウスの誕生作である『蒸気船ウィリー』を生み出してから、実に約90年もの歴史を歩んできたディズニー映画。

そんな作品たちは一体どんな場所で、どんな人たちによって創られているのでしょうか?

そんなディズニー映画にまつわるさまざまな疑問を解明するために、編集部はアメリカのウォルト・ディズニー本社へやってまいりました!

数々の歴史的名作の生まれたウォルト・ディズニー本社



カリフォルニア州バーバンクは名だたる世界的な映画会社が結集している土地で、映画産業の中心地ハリウッドも車で数十分。ウォルト・ディズニー本社もこのバーバンクに拠点を構えています。

上の写真はウォルト・ディズニー社の入り口の風景。この先に映画の秘密がたくさん詰まっているわけですね。ちなみに本社は一般の方が自由に入れる場所ではなく、今回は特別に取材許可をいただきました。



敷地内に入ってみると、広大なキャンパスの中でまず目に入ったのが、ユニークな外観の「チーム・ディズニー・ビルディング」と呼ばれるこちらの建物。スタジオ初の長編アニメーション『白雪姫』に敬意を表して、作中に登場する七人のこびとが柱となり屋根を支えているんだとか。

ちなみに『白雪姫』は1937年にアメリカで公開されましたが、 興行収入は当時のお金で870万ドルだったそう。子どもの映画のチケット代が10セント(ドルの10分の1)だった時代ですから、子どものチケットだけで換算すると8700万枚分。とてつもない人気だったことがわかりますね。



チーム・ディズニー・ビルディングのお膝元にあるのが「ディズニー・レジェンド・プラザ」。「ディズニー・レジェンド」はディズニーに大きな貢献をした人々をたたえる称号で、功労者たちの手形が250人以上飾られていました。



中には日本人の名前も! 高橋政知さんは「東京ディズニーランド」の建設に尽力した方、つまり東京ディズニーランドの生みの親です。

レジェンド・プラザ内には、ウォルトの兄であるロイ・ディズニーとミニーマウスの銅像もあります。



さらに歩みを進めると……、



現れたのが、「ザ・ロイ・E・ディズニー・アニメーション・ビルディング」と呼ばれるこちらの建物。映画『ファンタジア』でミッキーがかぶっていた三角の帽子をモチーフにしています。

オフィス内へレッツゴー! 数々の名作が生まれた現場に潜入



オフィス内に足を踏み入れると、お出迎えしてくれたのは、映画制作の源となるアートワークと呼ばれる作品たち。







1階の廊下には『ズートピア』『ベイマックス』など、作品ごとにアートワークが展示されていました。



これほど見事な絵画なのに、コンセプト・アートはあくまで映画の下地となる作品というから驚きです。(ちなみに現在お台場で開催中の『ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》』でもこうした原画の一部を見ることができます。なお展示は9月24日(日)まで)



社員のコミュニケーションスペースもありました。



かの有名なオスカー像がずらり。世界的名作が生み出されてきた証拠ですね。



その隣にはぬいぐるみがたくさんのお部屋が出現!



ツムツムのぬいぐるみもあります。



そんなお部屋の主はジョン・ラセターさんでした。ピクサー社にて『トイ・ストーリー』や『カーズ』などの監督をつとめ、現在はウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオをはじめ、ピクサー・アニメーション・スタジオとディズニートゥーン・スタジオの全製作映画とそれに関連する企画のすべてを創作面から監修しているスゴイ方です。

アメリカのディズニー社で働く日本人に聞いてみました。どうしたらディズニー・スタジオで働けるの!?

さてここでお会いしたのがウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで働く日本人のドイさん。日本人がいたことに驚きですね! 彼女は入社3年目で、過去に『モアナと伝説の海』、『アナと雪の女王』、『ベイマックス』などでもライティングとよばれる映画の仕上げの工程を担当したそう。せっかくなので会社についていろいろと伺ってみましょう。



――ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオには、日本人がたくさん在籍されているのですか? だいたい何名ほどいらっしゃるのでしょうか?

今は4人ですね(※取材時点)。1番多いときには7人いたんですが、増えたり減ったりしています。

――日本人はスタジオ内でたった数名なんですね! 世界的な名作を生み出し続けているディズニー社ですが、入社して驚いたことはありますか?

監督との距離が近いことですね。以前は実写の映画の仕事に携わっていたんですが、普通は担当作品の監督さんにお会いする機会はほとんどないんです。でもここは監督から各部門の責任者まで、すべての関係者が同じビルの中にいます。

自分がやった仕事を、人に渡して監督がチェックするのではなく、ダイレクトに監督の指示や反応を得ることができます。指導や手直しの指示も、監督と直接やりとりするんです。そこがこれまで経験したことがなかった、印象に残っているところですね。

―― それにしてもこんな素晴らしいオフィスで働けるなんて憧れです。どうしたらウォルト・ディズニー社に入社できるのですか?

ディズニー社に入るためのコースは2種類あって、まずはアメリカに留学して学校を出て、インターンしてからそのまま新卒で入るパターン。もうひとつは、他の会社で経験を積んで中途採用と言う形で入るパターンですかね。

私は後者で日本で今と同じような仕事を10年ぐらいやっていて、その後また別のイギリスの会社で働いて、(ウォルト・ディズニー社に)中途採用で入社しました。おそらく、ディズニーを一直線に目指すのであれば、留学して、アメリカで何かしらの成果を出して応募するのが1番の近道だと思います。

アメリカの保育料は月20万円!? ワーキングマザー事情

――アメリカのワーママ事情を教えてください。子どもを預ける環境は充実しているのですか? みなさんの勤務時間は?

働く時間は本当に人によりますね。ナニーさんと呼ばれるベビーシッター兼家政婦さんを雇ってフルで働いていたり、あとは時間をズラして出勤して、早めに来て早めに帰ったり。

アメリカは日本の保育園に比べると、保育料がすごく高いので、預けて働くのはすごくお金がかかるみたいです。(※編集部注:アメリカの保育園にあたるのが"day-care center"。ディズニー社の近隣では1~3歳フルタイムの保育料で月10~20万円が相場のよう)

――そうなんですね! ディズニースタジオではデスクに家族の写真を置かれている方が多くて驚きました。オフィスには、社員のお子さんも自由に出入りしていますね。ディズニー社は家族に対する理解のある会社に見えました。

職場にはお母さんもたくさんいます。制度としては、子どもが病気になったときなど、家族をケアするために自由にとれる休みが、有給とは別に年間10日間ぐらい用意されていますね。

基本的に、直系の子どもはいつでも会社にきていいんです。加えて親の職場を見せる日が年に1、2回あって、その日は社員のお子さんたちがスタジオ内をツアーして回ったりしていますよ。

アニメーションが実際に制作されているオフィスの中から、そこで働く日本人女性までをご紹介してきました。ドイさんの取材中「渡米してディズニーに入社するのは大変ではなかったですか?」という質問に対し、「計画的に目標までの段階を決めて、1つ1つクリアしていけばゴールに辿り着きますよ」と語ってくれたのが印象的でした。アニメを作りたい! 世界で活躍したい! そんな想いを持っていても実現となるとたやすいことではありません。しかし、それでも意思を持って進んでいけば本当に夢がかなう、そんなことを教えてもらえたように思います。



そんなドイさんも制作にかかわった『モアナと伝説の海』は6月28日(水)より先行デジタル配信開始、7月5日(水)にMovieNEX(4,000円+税)発売です。ディズニー映画に日本人も関わっていると知ればより一層楽しめるかも!? ぜひチェックしてみてくださいね。

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取材、文・編集部