「ひよっこ」25話。麗しい乙女がいっぱい乙女寮

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第5週「乙女たち、ご安全に!」第25回 5月1日(月)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:田中正


25話はこんな話


いよいよ、就職先・向島電機にやってきたみね子(有村架純)たち。
コーラス部の歌声(「手のひらを太陽に」作詞はアンパンマンのやなせたかし)に和み、美味しいカレーに舌鼓を打つ。

「なんかすみません」


第五週、東京編の最初の演出は、「真田丸」でも人気回を演出してきた田中正で、期待が高まる。

墨田区向島は、集団就職者が一番多かった場所と、増田明美さんのナレーション。
増田さんがワンポイント知識を語ってくれるから、世界観がわかりやすい。

集団就職と聞いて、劣悪な労働条件、女工哀史を想像していたが、向島電機はみんなかわいらしい服を着て、安定した雰囲気だった。
寮長の秋葉幸子(小島藤子)と、もうひとりの夏井優子(八木優希)は利発な乙女という雰囲気で、みね子の気持ちを上げるが、一緒に入社する兼平豊子(藤野涼子)は少々面倒くさそう。

上野駅にて、ふいに、
「おふたりは高校ですか? 中学の3年の成績はいくつでしたか」と聞き、みね子と時子の成績が振るわなかったのを知ると、
「わたしは体育以外は5でした。なのに高校には行かずにここさいます」と嫌味を言う豊子。
「なんかすみません」と肩をすくめるみね子は、「おとうさん、この子なんだかこわいです」とモノローグ。

でも豊子は、もっと勉強したかったのに、家を出されたのだろうから、かわいそうな子なのだ。
高校まで出してもらったみね子と時子は幸せ者のほうなのだ。当時の日本の貧困状況を考えさせられる。
寮と工場が隣接しているのを見た豊子は、監視されているみたいだと、労働環境に文句をいう。
理屈ぽいキャラなのだろう。美味しいカレーで少し心のこわばりがやわらいだようなので、仲良くなれるといいなと思う。

みね子は気ぃ使い


みね子は、家でも気を使って、言いたいことを言わなかったり、笑ってみせたりするような子だったから、
外に出ても、人の顔色をいい意味で伺っている。
天然のどじっこ・永井愛子(和久井映見)にも、ちゃんとリアクションをしてあげようと気を使う。
素知らぬ顔の時子に「もうちょっと興味もってよ頼むから」と小声で言うところがおかしい。
みね子って苦労人だよなあ。
社食の人気メニュー カレーを「千代子と進にも食べさせてやりたいなと思いました」と考えるところも、
お父さんと同じく、家族思い。
東京のカレーは、「インド人もびっくり」の即席カレールーを使っているんだろう。
このカレーの黄色と、サラダにマヨネーズ、昭和の食卓だなあ。

それにしても、愛子さん


豊子「さがしにいきました」
愛子「だれを?」
豊子「向島電機の永井愛子さんを」
愛子「え わたし?」
おとぼけ会話が楽しい。

愛子さんの活躍にますます期待が高まります。
(木俣冬)