「オロナミンC」が無性に飲みたくなる時がある。なんと表現すればいいのか分からない、“あの味”としか言いようのない味。とにかくあの味が欲しい……。そういう時に自動販売機を探してみると、「ドデカミン」だったり「リアルゴールド」だったり、あれ系のドリンクのバリエーションの豊富さに気づかされる。

で、割と“あれ系”でありさえすればどんな商品でもよかったりして、とりあえず売ってるやつを買ってグビッと一気に飲み、「これこれ!」と満足するのだ。

「リポビタンD」は医薬部外品で「オロナミンC」は清涼飲料水


なんとなく元気が出そうなイメージだが、例えば「リポビタンD」などのいわゆる“栄養ドリンク”が「医薬部外品」に当たるのに対し、「オロナミンC」はあくまでビタミンCやビタミンB2などを含んだ「炭酸飲料(清涼飲料水)」である。

「リポビタンD」や「ユンケル黄帝液」は、厚生労働省の認可を受けた「医薬部外品」であるため、効能・効果を謳うことができる。「肉体疲労時の栄養補給に」、とか「滋養強壮に」、とか。
一方、食品衛生法に基づく分類で「清涼飲料水」である「オロナミンC」や「リアルゴールド」は、具体的に体にこういう効果がある、ということをPRすることはできない。それで「元気ハツラツ!」といった抽象的な表現にとどまっているというわけだ。

1962年に大正製薬から医薬部外品の栄養ドリンク「リポビタンD」が発売され大ヒット。それに対し、「オロナミンC」は、炭酸を入れ美味しさや飲みやすさを追求した商品として大塚製薬から1965年に発売された。効果・効能を謳えることよりも美味しく飲めることを目指したのが「オロナミンC」なのである。結果的には、体に良さそうなイメージはありながらジュース感覚でも飲めるということで、医薬部外品の栄養ドリンクよりもかえって幅広い層に受け入れられることになった。

どの炭酸栄養ドリンクが一番美味しいのか!?


今回は、その「オロナミンC」側のドリンク、つまり医薬部外品には該当せず、体に良いとされる成分を含みつつも美味しく飲めることを目的に作られた炭酸栄養ドリンクをたくさん買い集めて飲み比べをしてみた企画となります。「オロナミンC」と「ドデカミン」と「リアルゴールド」、どれが一番美味しいかなんて今まで考えたことがなかったので、一度試してみたかったのだ。

そのようなわけで、近所の自動販売機やスーパーやドラッグストアをガンガンめぐって「オロナミンC」系ドリンクを買い集めることにした。やってみるとこれが予想以上にバリエーション豊富で驚く。自転車の前かごとリュックがそれ系のドリンクでパンパンになり、「自分は今、レモン何千個分のビタミンを運んでいるんだろうか」と思った。

ちなみに今回は「レッドブル」や「モンスターエナジー」などの「エナジードリンク」は除外してある。これもまた厄介で、エナジードリンクと「オロナミンC」系ドリンクの違いは何なのかという話なのだが、「エナジードリンク」に明確な定義は存在せず、どちらも「清涼飲料水」であるため境目は無いのだが、今回は価格(オロC系ドリンクが120円前後なのに対し、エナジードリンクは200円前後が一般的)をとりあえずの基準にした。

炭酸栄養ドリンク15種類がエントリー


エントリーしたのは以下のドリンク


「オロナミンC」、「デカビタC」、「リアルゴールド」、「ドデカミンストロング」、「ビタエネC」、「ライフガード」、「メッツ アルギニンV パワフルエナジー」、「エナジージム」、「パワーゴールド」「スーパースタミロンC」、「ミラクルボディV」、「ボディガードプラス」、「ドデカミン スペシャルパーティー」、「デカビタC ダブルスーパーチャージ」、「リアルゴールド フレーバーミックスレモン」の15種類である。
飲み比べ時には「MATCH」や「力水」なども一緒に試していたのだが、「オロナミンC」系ドリンクの仲間とは言えないということで後に外している。

どうですか! 多いでしょう。
「リアルゴールド」にレモン風味を足した「リアルゴールド フレーバーミックスレモン」のように進化バージョンもいくつか含んでいるとはいえ、こんなにあるものとは。人間、元気求め過ぎ!
おそらく探せばもっと見つかるだろう。

日本全国のご当地ポン酢を食べ比べる企画でもお世話になった、大阪中津のミニコミショップ「シカク」のスタッフやその仲間たちと共に飲み比べていこう。


左から、はやとさん、ヤマコさん、私(スズキ)、巴さん、たけしげさんの5人。さらに今回は、偶然その場に居合わせたマンガ家のスケラッコさんとその妹さんにも参加してもらった。

「シカク」店内の一角にずらっとドリンクを並べ、箸休め的な感じでスナック菓子も用意した。エナジー志向のものすごく強いパーティー会場のようになった。


ひとつずつ順番に全員で飲み比べていき、「美味しさ」、「エナジー感」などの項目を踏まえて5点満点の総合点をつけていく。紙コップに真っ黄色な液体を入れて目の前に出されると、ちょっとアレの検査的なアレに。


そんな邪念は振り払い、飲み比べスタート。


前述した通り、私はいつも、「オロナミンC」系ドリンクであればなんでもいいや!と、その時、一番近くにあった自販機で買えるもので満足していたのだが、並べて飲み比べてみるとひとつずつ味が全然違う! それぞれ一押しの成分も違い、予想以上に好みが分かれてきそうだと感じた。

いよいよベスト5発表!


では、今回集まったメンバーの厳正なる審査によって選び出された、美味しかった「オロナミンC」系炭酸栄養ドリンクベスト5を発表させていただきたい!

第1位
「リアルゴールド」(日本コカ・コーラ)


総合点4.07点
みんなのコメント:
ヤマコ「貫禄の味。香り、ちょっとケミカルなエナジー感も際立っている」
スズキ「決して強すぎない甘さのバランスが良い。後味に甘ったるさが残らない」
はやと「一番スタンダードな味に感じた」
スケラッコ「安心のできる美味しさがある」

1981年発売のロングセラー。「アスパラギン酸、ローヤルゼリー、ビタミンC、B2などを配合」とのこと。エナジードリンクには当たり前のように含まれているカフェインが含まれていないため、元気になり過ぎる心配がなく飲める。飲み比べメンバーの意見でも「安心」とか「王道」というような言葉が飛び交っていた。

2位はこちら。

第2位
「メッツ アルギニンV パワフルエナジー」(キリン)
総合点4.0点


みんなのコメント:
はやと「スポーツに合いそうなフレッシュな味わい。体力が回復しそう」
たけしげ「個人的には全部飲んだ中で一番好みの味だった」
スズキ「『リアルゴールド』に比べるとだいぶ甘みが強い印象だが、炭酸がそれほどキツくないのでグイグイ飲める」

成長ホルモンを促したり、免疫力をアップさせる効果があると言われる「アルギニン」とビタミンCを同時に補給できるのが特徴。350ml缶入りで、炭酸飲料としてグビグビ飲める爽快感がある。はやとさんの会社の自販機でも売っているらしく、仕事で疲れた時に買う人が多いんだとか。

第3位となったのがこちら。

第3位
「デカビタC ダブルスーパーチャージ」(サントリー)


総合点3.92点
みんなのコメント:
ヤマコ「炭酸の強さが嬉しい。栄養を飲んでるという気分にもしてくれる」
たけしげ「ガツンとくる刺激がエナジーな感じ」
スケラッコ「男子が飲んでそうな味」

ローヤルゼリーエキスとビタミンC、ビタミンB6などを配合。「デカビタC」よりも配合しているビタミンの種類は少ないが、「デカビタC ダブルスーパーチャージ」の方が500mlのペットボトル入りで量もある分、飲みやすさが高まっている印象。炭酸の強さを特徴として挙げる声が多かった。

第4位に同率で2本がランクイン。

第4位
「ドデカミンストロング」(アサヒ飲料)


総合点3.64点
みんなのコメント:
たけしげ「エネルギー!っていう感じもありながら飲みやすい」
はやと「なんだか何かにすごき効きそうな気がする味」

「ローヤルゼリー、マカ、ガラナ、高麗人参などの元気成分を超強化」したという「ドデカミン」の上位モデル。「オロナミンC」系ドリンクの定番である“瓶”の模様をアルミ缶にデザインしているところがなんだか可愛い。

同4位
「ドデカミン スペシャルパーティー」(アサヒ飲料)


総合点3.64点
みんなのコメント:
巴「パワフル過ぎて涙が出る」
たけしげ「口が痛くて目が覚める!」

「ガラナ・マカを通常の2倍に増量」したという「ドデカミン」のさらなるパワーアップバージョン。ジンジャーフレーバーになっていて炭酸も強めで、「うおー!」と叫びたくなる味わい。

銘柄当て「利きナミンC」に挑戦!


一通り飲み比べをした後は、ランダムに選んだドリンクの銘柄を味だけで当てる「利きナミンC」の時間だ。さんざん「比べてみると全然違う」などと書いておきながら、やってみると相当難しい!


あまりに難しすぎて代表的な5種類のドリンクに絞ってやり直してみたのだがそれでも当てられたのはわずか2名。「オロナミンC」系ドリンクを何本か買っておけば簡単にできるので、パーティーの余興としてぜひ試してみて欲しい。

最後にレギュラーメンバーに今回の飲み比べについて総評をもらった。

たけしげ:全部一緒だろうと思って挑みましたが、炭酸の強さやフレーバーの有無、ガッツリ感の強弱に意外と差がありました。でも今回みたいに次々飲んだから違いがわかっただけで、喉が渇いてる時に一本買ったら正直どれでも「おいしい!」と感じると思います!

はやと:“オロC系”と一括りに言っても意外と味に差がある。しかしどの成分がどう影響するのかわからない。終わった後で『オロナミンC』の公式サイトを見たらいろいろな飲み方を紹介していた。やっぱり本家は力の入れ方が違うなと思った。割りナミンCもやりたい。

ヤマコ:ポン酢と同じく、こんなにも違いがあるのかと唸られされました。黄色の濃さだけでキャッキャ言っていた自分を省み、これからはしっかり味わっていきたいです。“利きナミンC”、手ごわい難度でした。全敗の僕からできるアドバイスはありません。一緒に精進しましょう!

巴:「利きナミンC」は難しかったけど、思ったよりできたというのが本音です。ぜひみんなにこの楽しさを味わってほしいです。炭酸がどんどんぬけていくので、フレッシュなうちに「利きナミン」するのがポイントです!

ちなみにこの会の後、打ち上げがてらメンバーで居酒屋へ行ったのだが、いつもよりみんなのお酒を飲むペースが遅かった。これはもしかして、「オロナミンC」系ドリンクによってエナジーが満ち溢れ、お酒を必要としない状態になったからなのか!? それとも単純に胃の中がすでに飲み物でタプタプだったからなのか……。
(スズキナオ)