五輪のオーバーエイジは、どうなるのだろう。

 U−23日本代表の手倉森誠監督は、24歳以上の選手を招集したいと考えている。メダル獲得という目標を達成するために、オーバーエイジを取り込む意向を持つ。

 4年前のロンドン五輪で、日本はベスト4と躍進した。前回を上回る成績を目ざすのは当然で、今回の結果は20年の東京五輪にも影響を持つ。
 
 リオ五輪でメダルを獲得すれば、東京五輪の世代は「自分たちもメダルを」という意識を持つ。「前回大会を上回る成績を残さなければ、自分たちの世代は評価されない」と考える。東京五輪で大きな歓喜をつかむためにも、リオ五輪を実りあるものにしなければならないのだ。
 
 調整が必要なのは、日本代表との関係である。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、アジア最終予選を気にしているに違いない。リオ五輪の終了からおよそ10日後の9月1日に、ホームのアラブ首長国連邦(UAE)戦が控えているからだ。UAE戦の5日後にも、ホームのタイ戦がある。確実に勝利をつかむべき2試合だけに、ハリルホジッチ監督が慎重になるのも分かる。
 
 海外組の招集には、クラブとの交渉が不可欠だ。FIFAのインターナショナルウインドーと関係のない五輪は、各国協会側に選手の拘束力がない。
 
 だからこそ、ブラジルは早くからネイマールの招集に動いた。バルセロナとの交渉を重ね、すでに五輪出場の許可を取りつけている。他ならぬネイマールも五輪の出場に前向きで、協会、クラブ、選手の思惑ができるだけ折り重なる形で、着地点を見出した印象だ。
 
 ひるがえって日本である。
 
 オーバーエイジの招集については、選手の気持ちを汲むことを忘れないでほしい。
クラブでの立場とW杯最終予選を考えれば、五輪の出場を回避したほうが都合はいい。クラブや監督からすれば、選手のコンディションが気になる。無理はさせたくないと慎重になる。
 
 他でもない選手も、コンディションが厳しくなるのは理解している。実際にプレーするのは彼らだ。そのうえでなお、「五輪に出たい」と声を上げるなら、覚悟を決めていると理解していい。過酷な環境を乗り越えて、リオ五輪で、最終予選で、クラブで、結果を残すことを自らに課していると。
 
「自分から出たいと言ってピッチに立つオーバーエイジ」は、「選ばれたから出るオーバーエイジ」よりも、大きな責任感を抱いてプレーするだろう。実はその思いこそが、オーバーエイジにもっとも必要なものである。