奈良県北部の生駒市にある高山製菓は、「ころもち」などの名称で親しまれる「かきもち」を長年にわたって製造しています。特に関西圏では名前を聞いたことがある人も多いと思われる高山製菓のかきもちですが、今回は工場の中を見せてもらえることになったので、どのようにして「かきもち」が製造されているのか、そしてどんな秘密があるのか見てきました。

工場見学・高山製菓の「かきもち」ができるまで - YouTube

手づくりの味 高山かきもち

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◆高山製菓の「かきもち」

「お餅」の表面を「かいて(剥がして)」作ったことから名付けられたという「かきもち」は、その名のとおりもち米から作られたおかきの愛称です。



高山製菓と言えばコレ、と言っても過言ではない商品の一つが、この「ころもち」。ふっくらと焼き上げられたかきもちをサラダ風味に味付けしたものなのですが、うまく説明できないけど他とは何かが違う風味を持っていることは、1度でも食べたことがある人ならきっとわかるはず。



絶妙の塩加減とッサリとした風味のおかげで、ついいくらでも食べてしまうという恐るべきキラーメニュー(他所にはない独自の味)となっています。



かきもちに豆が入った「豆かき」が好きな人も多いはず。



やや強めに塩が効いた味で、豆の風味をほどよくもり立てているのが印象的な一品です。その他にも数多くのかきもちがラインナップされているのですが、同社では全てを自社の工場で製造しているとのことです。



◆工場に潜入

ということで、かきもちが作られている工場にやってきました。



道路に面する入り口から工場に入ると……



かきもちを販売する直売所がありました。後ほど出てきますが、平日でもお昼頃の時間帯になると買いにやってくる人でごった返すほどで……



直売所の前にはサービスのお茶や水のサーバーが置かれ、自由に飲むことができるようになっています。



直売所の中はこんな感じ。壁際には、商品のサンプルの他に自由に味見ができる試食サンプルが置かれています。



直売所のすぐ横には生産ラインが並んでいますが、ここにあるのは最終の「焼き」の工程の機械ばかり。まずは、少し離れた場所でかきもちの元となる「もち」を作っている工場に行ってみます。



歩いて2分ぐらいのところにある、もちつき工場に到着。



扉を開けると、原料となるもち米が置かれていました。



◆もちつき工程

もち米はまず大きなタンクに貯蔵されます。タンクの下にはもち米を自動で洗浄する機械が備え付けられており、洗浄されたもち米がチューブを通って次のタンクへと送られます。



2つめのタンクでは、製造する前にもち米を水に浸けて蒸す準備を行います。左のタンクが水に浸けるためのタンクで、十分に水を吸ったもち米は再びチューブを通って次の機械へ。



この機械では、水を吸ったもち米をローラーで細かくつぶしています。そうすることで、もち米が均一に蒸されるようになるとのこと。



細かくつぶされたもち米は、高さ5メートル以上ある茶色い蒸し機の上部から投入されます。もち米は上から下へと一方的に流れる設計になっているので、連続した生産が可能になっているとのこと。



こうして蒸し上げられたもち米が、蒸し機の最下部からにゅるにゅると吐き出され、ベルトコンベアで運ばれていきます。周囲は常にシューシューと蒸気が噴き出しています。



ベルトコンベアの先では、2台の「つき機」がひっきりなしにもち米をついて「かきもち」の生地を作っていました。



つき機は、臼と杵が2セット並んだ設計になっており、左から右へともちが流れるようになっています。見ているともちが臼からあふれてしまいそうですが、見事に次へと流れていく様子は実に不思議でした。



つき上がった「もち」はすぐ横にあるミキサーに投入され、生産するメニューに応じて、独特の食感を与える「もち米」を投入したり、ごま、海苔、海老などの味付けが行われたりします。



これはもち米を投入しているところ。



ミックスが終わったもちを手で持ち上げ、次の機械にセット。「熱くないんですか?」とベタな質問をしたところ、「つきたては熱いけど、混ぜたあとはそんなに熱くないですよ」とのことでした。



この機械は、ミックスが終わったもちを専用の型枠に入れるためのもの。丸い型枠が置かれた台の下には計量器が内蔵されており、一定の重さになると自動で次の型枠が送られるようになっています。



もちが満杯になった型枠は機械によって持ち上げられ……



次々と積み重ねられていきます。



一つ積み重ねるごとに、人の手で表面を平らにしていました。



この時に作っていたのは、ゴマが混ぜ込まれた生地で、「田舎焼」という商品に使われるものだそうです。



ゴマの他、このような海老や……



青のりなども、この段階で生地に練り込まれていきます。



このようにして型枠に収められたもちは、冷蔵庫の中で冷やされて固められ、次のカットの工程に送る準備を行います。なお、型枠は上記のような円形と、四角い板状にする2タイプがあるとのこと。



◆カット工程

冷却が完了したもちの生地を、この機械で薄くカットしていきます。



機械では大工道具の「かんな」のような刃物が動いており、台にセットした生地を次々にスライスして行きます。



写真の向こう側にセットされたもち生地は、薄くスライスされ、一番手前のアームで横に押し出され、回転する刃物で「かきもち」1個分の大きさにカットされます。



最後にトレーで受け止めてカットは完了。次は「乾燥」の工程です。



◆乾燥工程

工場内には巨大な乾燥機が何台も置かれています。カットされたもち生地は、この上をグルグルと無限にループしながら乾燥が行われます。



乾燥機にはガスバーナーが据え付けられており、ここで熱した空気を内部に送ることで、熱で生地を乾燥させる仕組みです。



熱で乾燥させるため、流れる生地の上に手をやると、ほのかに温かさを感じます。この工程が終わると、ついに「焼き」の工程です。



なお、この工場内には、温風を使わずに乾燥させる乾燥庫も置かれています。ちょうど、エアコンを入れると湿気を吸収してくれるのと同じ仕組みで空気を乾燥させ、生地の水分を飛ばす仕組みになっているとのこと。



◆焼き工程

焼きの工程は、直売所がある建物の中で行われます。直売所の真横辺りでは、焼き上がったばっかりのかきもちを見ることができます。



焼き工程のスタート地点。乾燥が終えられたもち生地がバケットの中にドサッと入れられています。



「これがかきもちの生地やで」と、生地を手に工場を案内してくださった、高山製菓の齋二(さいに)社長。



手に持っているのは、「蓬莱」と呼ばれる商品の生地。



この「蓬莱」と「ころもち」は、他の商品と違って生地が厚くなっています。通常の釜ではこの厚さの生地をうまく焼くことができないので、特殊な釜を組み合わせて使っているとのこと。この後で登場します。



生地が機械に投入されると、振動やブラシの回転を利用して生地をキレイに整列。



生地はまず最初の予熱釜へ。この釜は、一般的なガス釜となっており、扉を開けると熱風がブワッと飛び出してきました。



そして2つめの釜が特殊な仕組みを持つ釜となっています。1つめの釜とは違い、近づいてもほとんど熱を感じないのがとても意外。



それもそのはず、この釜では火を使わずに電磁波で生地そのものを発熱させることで、内部もまんべんなく加熱を行っているとのこと。この仕組みは、基本的に電子レンジと同じものとなっているそうです。通常のガス釜では中にまで火が通らないため、通常の2倍の厚みを持つ「ころもち」や「蓬莱」はこの機械がないと製造できないとのこと。



巨大な「電子レンジ」で加熱された生地は、ガスを使った「第3の釜」に入ります。この釜は通常と同じ釜となっており、最後に熱を与えることで、色味やカリッとした歯触りを生みだしています。



◆味付け工程

そしてついに、「ころもち」などの味が付けられる段階に到達しました。焼き上げられたかきもちが味付け機に送られます。



そして味付け用のカゴにどさどさと投入され……



カゴのまま、味付け用のタンクに浸けられました。もうこの時点でいい香りが漂って来ます。



タンクの中にはサラダ油や塩、その他「企業秘密」の成分を混ぜた調味液が入っていました。焼き上がってきたかきもちは、このタンクに2度浸けられることで味付けされていました。



味付け後のかきもちがゆっくり流れ、最後の梱包の工程へと進んで行きます。



ここで、できたてホヤホヤのころもちを食べられるチャンスに遭遇。ほのかに温かいころもちは歯ごたえがサクッとしていましたが、いつも食べ慣れた味とは少し違う感じでした。その理由はなんと、「ころもちはできあがって2日ぐらい経たないと本来の味にはならない」というものとのこと。ドブンと浸けられた調味料の味が全体になじむのにある程度の時間が必要なのだそうです。



◆梱包工程

調理の終わったかきもちは、出荷に向けた梱包の工程に送られます。高山製菓のかきもちは大きく分けて、1個ずつ袋に詰められた「個々包装」と、一つの袋にガサッと入った「ばら詰」の2種類があるのですが、この機械は「個々包装」を行うためのもの。



人の手で列に並べられたかきもちがコンベアで送られ……



フィルムに包まれ、切り離された状態で機械から出てきました。あとはこれを箱に詰めて「個々包装」の完成と言うことになります。



一方こちらの機械は「ばら詰」や「袋入」、「詰め替え用」など、個々包装以外の商品を仕上げるためのもの。部屋の天井につくぐらい高い設備が目に入ります。



向かって右側から投入されたかきもちは……



コンベアで上に持ち上げられ、放射状の形状を持つ機械の中に流れ込みます。



これは、コンピューター制御で精度の高い袋詰めを行うことができる機械です。10個あるカゴにはランダムにかきもちが流れ込むようになっているのですが、コンピューターがもっとも規定の重量に近い組み合わせを一瞬ではじき出し、必要な分量だけを下にある袋に落とすようになっています。



上から落ちてきたかきもちを袋で受け止めて……



別の人が袋の底を熱で圧着して密封。



そして袋を段ボールに詰めて完成。あとは出荷を待つばかりというわけです。



◆直売所に戻ってみたら

取材を終え、直売所をのぞいてみると多くのお客さんが買い物にやってきていました。平日の昼間だというのに、ひっきりなしに出入りしている光景には少し驚き。



棚を見ると、さっき工場でみかけた袋に入っている商品が並んでおり、なんとなく不思議な気分になりました。



こんな感じで高山製菓の工場見学は終了。日ごろ身近にあるものや食べているものが作られる光景を見るのは、実に興味深いものだったので、機会があれば色んな工場を見てみたいところです。



なお、高山製菓のかきもちは以下のサイトからも注文することが可能です。

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