朝の通勤ラッシュの時間帯、公道をさっそうと駆け抜ける自転車を目の当たりにすることって最近多くない? しかも乗っているのは主婦や子供ではなく、いい大人の男性。そう、彼らこそが昨今、密かなブームとなっている「ツーキニスト」なのだ。

 「ツーキニスト」とは『自転車通勤でいこう』(99年・WAVE出版)や『自転車生活の愉しみ』(01年・東京書籍)などの著書で知られる疋田智氏の造語。自転車で会社まで通勤する人たちのことを定義した言葉で、それも『自宅から駅まで、というのではなく、自宅から会社まで行っちゃおうよ、片道15?ぐらい何ともないぜ』(引用:自転車ツーキニスト・知恵の森文庫)という人たちのことを指す。その自転車通勤の魅力について、生粋のツーキニストで、自身でも『サイクルカフェ』(http://www.cyclecafe.jp/)等の活動で自転車ライフを提案している(有)サクオンの八島正実さんに聞いてみた。

 「自転車通勤には『プチ旅』の要素があると思うんです。自宅から会社までのルートってひとつじゃないですよね。いつもこのルートだから、今日はこっちから行ってみようとか、自分でいろいろと計画を立てることができる。その途中にはこんな建物やこんな場所があった、など毎日いろいろな発見があるんですよ。また四季の移り変わりを肌で感じられることも楽しいことですね。」

 電車通勤が電車に「運ばれる」受動的な行為とすれば、自転車通勤は自分自身を「運ぶ」能動的な行為。「通勤」という言葉には苦痛なイメージがつきまといがちだが、ツーキニストたちはその「通勤」という行為自体を楽しんでいるわけだ。また、毎朝の運動としても最適で「10?程度の距離だとじっとりと汗もかきますね。でも疲れるというより、すごく爽快な気分。頭も体もすっきりして仕事もはかどりますよ」(八島さん)。

 通勤という日課を楽しみのひとつにできるツーキニスト・ライフ。その爽快感を味わってみよう。(文/verb)