25日、JR福知山線脱線事故の救出作業現場。(撮影:大和知之)

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25日午前9時18分ごろ、JR福知山線宝塚発同志社前行き上り快速電車が、兵庫県尼崎市久々知3丁目27番付近で脱線、先頭の2車両が線路脇のマンションに突っ込み大破する事故が起きた。尼崎市消防局によると、この事故の死者は50人(男性25人、女性24人、不明1人)、負傷者は約235人(午後5時現在)に上った。

 JR西日本は、午後3時過ぎの記者会見で、事故の経緯を報告した。7両編成の同列車の運転手は24日午後1時30分から勤務を始め、25日午前9時3分に事故現場手前の伊丹駅で8メートルオーバーラン。バックして乗客を乗降させたため1分30秒遅れで運転を再開、車掌が指令に報告した。その後指令が運転手に呼びかけたが応答がなく、車掌が指令と携帯で連絡を取り合っている最中、同列車の急ブレーキがかかったことが分かったという。また対向列車から、塚口駅手前の第一新横枕踏切で「人身事故があったもよう」と報告があった。

 脱線した2両目に乗車していた男性乗客の1人は事故後、近くのガソリンスタンドで、店員に事故の様子を「大きな音がして脱線した。つり革につかまっていたが、最初は地震かと思った」と青ざめた顔で話したという。また事故現場の踏み切りで信号待ちをしていた男性は、すさまじい衝突音と突然上がった煙に、車から飛び降りた。とっさに「火事か」と思い近づくと、先頭車両がマンションにめり込んでいるのが見えたという。

 事故の原因は現在調査中。10人以上がまだ列車内に取り残されているという。またJR西日本の社員が現場に駆けつけ、レール上に石がありその上を列車が通過したことを示す「粉砕痕」を確認したが、同事故との関連は今のところ不明。また、7両中前5両までが脱線したことが新たに分かった。

 負傷者は兵庫医科大学病院、関西労災病院など市内の病院に搬送され、手当てを受けている。【了】