学生の窓口編集部

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変わり者、芸術的、不器用……など、さまざまなイメージがつきまとう「左利き」。かつて、「左利きのひとは右利きより約9年も短命」という衝撃的な学説がイギリスのネイチャー誌に発表され、物議をかもしだしました。その根拠は「右利き中心の世のなか」に適応しづらく、ストレスが寿命に影響する、事故やケガの頻度が高い、など複数あげられたが、決め手に欠けるうえ反対意見も多いのも事実です。

では、この「左利き=短命」は本当なのでしょうか。

■世の中で過ごしづらい「左利き」

世界の人口の10%前後という割合の左利き。世のなかは「右利き中心」に構成されており、少数派の「左利き」にとっては不便がたくさんあります。例えば、

・日用品 … はさみ、包丁、缶切り

・機械 … パソコンのキーボード配列、自動改札機

・楽器 … ギター、ベース

・スポーツ … グローブ、ゴルフクラブ

などは「右利き仕様」が当たり前。左利きグッズの普及は不完全なので、左利きでも右利きグッズを無理やり使わなくてはなりません。軍のライフルや警察の銃なども基本は「右利き仕様」で、国によっては左利きのひとも右手で操作するよう訓練されるというから驚きです。

このような「右利き仕様」に対する日常的なストレスが寿命に影響したり、右利きグッズの使用がケガや事故の原因になりうることに着目した、カナダやアメリカ、イギリスなどの科学者たちは、

・南カリフォルニアの住人

・イギリスの伝統的スポーツ「クリケット」の歴代の選手(きき手データのあるひと)

・アメリカ海軍で、重大な事故にあった確率

などを調査し統計をとった結果、平均寿命は右利きの75歳に対し、左利きは66歳と約9年も短命、加えてケガや事故の割合が高いと発表、大きな反響を呼びました。

ただし、あくまで統計上のデータであり、科学的に「これ!」といった決め手はありません。左利きの割合を性別でみると、女性より寿命が短い「男性」のほうがが多いため、短命説が登場したとの説もありますので、生活しにくいのは確かですが、左利き=短命の原因とは言い切れないのです。

■「左利き」のメリット

短命疑惑だけで十分ガッカリですが、それ以外にもネガティブなイメージが少なくない左利き。しかし、左利きの出現理由は、「遺伝」や「左脳より右脳(感覚)が優勢」などと諸説あります。ここで、「左利きならではのメリット」を挙げてみましょう。

・左手を使うことで「右脳(感覚)」が活発に働き「空間認識能力」が発達する

・スポーツで、左利きに不慣れな右利きと対戦すると、圧倒的に有利 

「空間認識能力」は、物体の大きさや形状、位置、姿勢などを瞬時に把握できる能力のことで、スポーツや芸術分野では大いに役立ちそう。

ボクシングをはじめとする格闘技では、

・右利きのひと……左利きを相手に練習する機会が少ない

・左利きのひと……いつも右利き相手に練習している

ので、圧倒的に有利! サッカーやテニスでは、攻撃しやすい範囲が左右逆になるので、対戦相手はやりにくさこの上ない。文字通り「逆手」にとって活躍しましょう。

■まとめ

・世の中のほとんどが「右利き仕様」なので、左利きにとって生活しにくい空間

・「左利きは短命」「ケガや事故を起こしやすい」データは多いが、科学的根拠は薄い

・左利きは右脳優勢=空間認識能力が発達する

・対戦型スポーツでは非常に有利な存在

マイナスイメージも少なくない左利きですが、左利き=「右脳(感覚)」が活発に働き、「空間認識能力」が発達するので、スポーツや芸術分野などで活躍できること間違いなし! 左利きの人は、短命という調査結果に悲観せず、左利きライフを楽しみましょう!