LTEテザリングでオンラインゲームが落ちる? Wii Uの人気ゲーム「スプラトゥーン」で迷惑になる理由

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任天堂ゲーム専用機Wii Uで大人気の「スプラトゥーン(Splatoon)」。TPSアクションゲームだが、頭脳パズルの要素もあるためアクションゲームが強いだけでは勝てないことから、子供から大人まで人気がある。
※TPS(Third-Person Shooter/サードパーソン・シューター)は、第三者視点で戦うアクションゲーム。

「スプラトゥーン」は、ネットワーク経由でサーバーに接続し、仲間を集めて対戦する。
当然、ゲームをプレイするにはインターネット接続が必要だ。

このスプラトゥーンは、大人気タイトルだけに、最近ではスマホやモバイルルーターなど、LTE回線のテザリングでプレイする強者が続出している。
そして、そうしたプレイヤーたちが、ラグ発生や回線落ちエラーを頻発させてプレイできないといった状況を増やしているのだそうだ。

しかし、最近のモバイル通信は、LTEで110Mbps、WiMAX 2+で220Mbpsと十分に高速だ。
これだけ高速な通信が可能なのに、なぜスプラトゥーンでトラブルが起きてしまうのだろうか。

TPSなどのオンラインゲームでは、プレイヤーの情報(コマンド入力、持ち物、現在地の座標データーなど)をサーバーとリアルタイムでやり取りする。
・いまどこにいるのか?
・武器は何を持っているのか?
・何発弾を撃ったか?
・敵の弾が当たったか? 当たってないか?

こうしたデーターは小さいので通信速度が100Mbpsであっても、1Mbpsであっても、ゲームに大きな影響を与えない。(もちろん高速であるほうが望ましい)。

実は、オンラインゲームに影響があるのは、通信速度ではなく、応答速度と呼ばれるものなのだ。
“ping”とも呼ばれているが、この数値が大きければサーバーとのやり取りでラグ(時間差や遅延)が発生する。このラグが多くなると“回線落ち”と呼ばれる現象が発生し、戦闘が終了してしまうトラブルなどが起きてしまうのだ。

LTEなどの高速モバイル回線は、最大速度は高速だが、同時利用者数がコロコロ変わるので。この応答速度(ping)が固定の回線より不安定なのだ。
LTEのWi-Fiテザリングでも、pingが十分な値(1ms〜15ms)ほどあればゲームに影響はないかもしれないが、場所や混雑によっては、それ以下になるケースも多い。

実際に、筆者宅の固定回線、筆者宅のWi-Fi接続の端末、筆者宅の近辺でのLTEのテザリング接続での、応答速度(ping)値を調べてみた。


筆者宅の固定回線。ping値は1msとTPSやFPSもプレイできるレベル。



筆者宅のWi-Fi接続時端末の速度。ping値は13msと応答が遅くなっている。

   

筆者宅近辺のLTEの速度。ping値は71msとTPSをプレイするには厳しい。


結果は、以下のようになった
・筆者宅の固定回線           :1ms
・筆者宅のWi-Fi接続の端末       :13ms
・筆者宅の近辺でのLTEのテザリング接続 :71ms


もちろんLTEのテザリングでも、pingの値が1ms〜15msといった数値で安定していれば、他のプレイヤーに迷惑をかけることはないと思われる。どうしてもLTEのテザリングでゲーム参加したい場合は、ブロードバンドの速度を計測してくれるテストサイトなどでping値を計測し、問題なさそうなら接続するといったようにしてもいいだろう。

しかし、モバイル通信は、混雑具合や時間帯などでも変動しやすい。ping値が安定する時間帯などを調べて接続すれば、回線落ちなどのトラブルは起きないかもしれない。しかし、接続時は安定していても、プレイ中に通信速度が変動する可能性があることは忘れないようにしよう。

このことからも、FPSやTPSなどのオンラインゲームをプレイするのであれば、ADSL、CATVインターネット、FTTHといったpingの安定した固定回線でプレイするほうがいいのだ。

togetter:テザリングを利用してスプラトゥーンをプレイする人が意外と多い。
SPEEDTEST


小川夏樹(ITライフハック編集長)