なぜアップルはそこまで我々の健康にこだわるのか?
アップルによる完全な人間の追求
この記事はニュースサービス Ferenstein Wireで最初に公開された後に編集されたものである。意見等は著者であるGregory Ferensteinまでメールを。
懐の携帯やスマートウォッチがどの様にあなたを変えようとしているのかを知りたければ、アップルが6月8日に発表した事はいい取っ掛かりだ。
アップルが展開する新しい健康モニタリングシステムであるHealthkitで、新たな測定基準が設けられようとしている。幸福感および集中力に重要な影響要素と考えられる体内水分および紫外線への曝露量などがそうだ。この世界一リッチなテクノロジー企業がデベロッパーカンファレンスで公表したこれらの健康測定をもって、アップルは健康にこだわる人々が既に行っているように、日常の些細な習慣から大きな何かを生み出そうとしている。
アップルは完全な人間に対する追求に歩を進めているようだ。人々をよりスマートに、早く、強靭にするために一日中注意を促し、Apple Watchは毎時間ごとにユーザーにバイブレーションを通して「さあ立ち上がれ」と呼びかける。
ユーザーに水分補給や日光に当たるようリマインダーを出されることは、アップルユーザーの新しい習慣になる。これはアップルの究極のゴール、ユーザーを強く健康的にするという取り組みの最も新しいものだ。
水分と紫外線について
水分補給についてうるさく言われるのにはわけがある。脱水状態は気分や精神状態に影響があるのだ。
「日常生活で置きうる軽い脱水状態でさえ、メンタルに対する悪影響がある」と、米国軍の栄養研究部門所属の心理学者、ハリス・リーベルマンはUConnに説明する。「女性の場合は特に、メンタルに対する悪影響はタスクの実行を難しいものにし、集中力を低下させ、頭痛を生じさせる」と彼は付け加える。
皮肉なことに、現在において水分測定のためのもっとも有名なウェアラブルテクノロジーはApple Watchではなく、Jawbone Up3トラッカーだ。内側につけられた金属の接触部分から、皮膚をとおして体内の水分量を測定する。
紫外線の曝露量も健康に影響がある。ガンの原因として忌み嫌われることが多いが、人体は日光を吸収するよう出来ている。ビタミンDと日光の組み合わせにより、神経伝達物質のセロトニンが活性化され、鬱のリスクや炭水化物の要求を抑えるのに役立つ。研究によれば、日光セラピー(あるいは例えば冬の時期の適切な日光浴)は疲労をためない事に役立つとも言う。個人的に朝に携帯でメールを返すときは外で行うことを好んでおり、日光に当たることはコーヒーを飲むような気分を高揚させる作用がある。
iPhoneに組み込まれている光センサーは、ユーザーが当たる日光量が多すぎるか少なすぎるかを測定するのに役立つ。Apple Watchもモニターの輝度を調節するために同様の光センサーを装備している。もともと噂されていたような紫外線センサーではないが、それでも日光に当たっている時間をトラッキングするのには役立つものだ。
健康的なアップルユーザーを作り上げる
日光に当たる時間のトラッキングに関して言えば今のApple Watchも役には立つが、それでも他の商品と比べると追いつかなければならない点がある。紫外線センサーを装備した競合品には、TzoaやサムスンのGear Sなどが含まれる。後者は紫外線センサーのほかにAPIをもっており、開発者はこれを利用することが出来る。
アップルが後塵を拝しているのは確かかもしれないが、まだ取り組みは始まったばかりだ。HealthKitフレームワークについての作業は常に進んでおり、最近のアップデートでは女性の生殖機能に関する機能も含まれている。
ハード面で言えば、アップルが思い描いているような健康モニタリングのためのスーパーガジェットは作り出していない。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、アップルはApple Watchにもっと多くのセンサーを内蔵したがっているが、ハードが不安定なことや、複雑すぎるシステム、FDAからの認証などから計画は難航しているとの事だ。これらは健康管理デバイスにありがちな課題かもしれないが、アップルにとっては初めて直面するものだ。彼らの様な大企業ですら、これらの問題は非常に厄介なものでありえる。
ギブアップしたわけではない。アップルが継続しているHealthKitでの開発や、始まった医療研究プロジェクトであるResearchKitをみるかぎり、同社が望んでいる高い目標をあきらめるつもりはないようだ。Apple Watchおよびそれにまつわる構想は出てきたばかりだ。今しばらくは「全員を健康な人間にする」という最終ゴールへの歩みを止めないだろう。
画像提供:Apple
Gregory Ferenstein
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