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ライバルのモバイル・プラットフォームと自社ユーザーの対話を望む理由。

噂は本当だった。今年の下半期、CortanaがiOSとAndroidに導入されるのをマイクロソフトが認めた。この音声アシスタントの機能はほぼ全て、アップルとグーグルのプラットフォームで利用可能となる。だが、Windows Phoneと同様にアプリを起動したり設定を切り替えたりすることはできない。

CEO、サトヤ・ナデラ指揮下のマイクロソフトの遍歴を注視していれば、この展開は驚くにはあたらない。このレドモンドの企業は、あらゆるプラットフォーム(自社のオフィススイートのような)でモバイルアプリを利用可能にすることを重視し、PCからスマートフォン、タブレット、ゲーム機に至るまで、どの端末でもWindows 10がうまく機能するよう、精力的に取り組んできた。

この新しいCortanaのリリースは、新たに発表されたWindows 10向けのPhone Assistantアプリと関連している。このアプリは、デスクトップ用ソフトをiOSやAndroid端末で簡単に利用できるようにするのが目的だ。

Cortanaは成長し、旅立つ

AndroidのCortana(提供:マイクロソフト)

Google NowやアップルのSiriに挑むため、マイクロソフトは、今夏リリース予定のWindows 10オペレーティング・システム(OS)の不可欠な要素としてCortanaを集中的に開発してきた。ユビキタスなアクセスを提供するため、同社はデスクトップPC、ラップトップ、Xbox One、モバイル端末、さらにはライバルのプラットフォームにも、このアシスタントを送り込む計画だ。

iOSやAndroid端末でのCortanaは、ユーザーを認識し、端末間で同期を行い、通知やリマインダー、アップデートを表示してくれる。検索機能を活用し、クラウドで利用可能なものなら何にでも(例えば、好きなスポーツチームの対戦結果など)アクセスできる。

特定のアプリを起動したり、音声で端末の設定を切り替えたりすることを除けば(これらはアップルやグーグルの端末では許可されていない)、使用感はWindows Phoneでのそれとほとんど変わらない。

AndroidのCortanaアプリは6月後半にリリース予定であり、iOSは「今年の下半期」にそれに続く。Windows 10の公式な発売日はまだ発表されていない(※)が、iOSやAndroidとの十分な互換性も同時に備わっているはずだ。

※編集部注:Windows 10の発売日は7月29日に決まりました。

戦略を語る

Cortanaを他社のプラットフォームに導入するのは、アップルの戦略に真っ向から対立する格好だ(AndroidやWindows Phone端末がMac端末とうまく通信できるよう、健闘を祈る)。だが、携帯電話市場で劣勢を強いられているのであれば、これは常識的なアプローチだ。最新のデータによれば、Windows Phoneのシェアは、全米で約3.8%である。

今までのところ、Windows 10は、マイクロソフトの稼ぎ頭として優れたものとなりそうだ。多くのユーザーが、少なくともプレビュー版の試用に興味を惹かれている様子である。同社は新たなユーザーを呼び込もうとしており、彼らを引き止める製品の提供を目指している。

Google Chromeが証明しているように、ライバルのプラットフォームで自社のソフトを利用可能にすることの恩恵は大きい。マイクロソフトは成功を祈り、抱き込んだiOSやAndroidがユーザーをWindowsに連れてくるのを期待している。だが、技術メーカーはご注意を。それと同時に、この戦略が裏目に出て、Windowsがマイクロソフト全体の成功に必須ではないことが証明されてしまう可能性もあるのだ。

画像提供:Microsoft

David Nield
[原文]