5月19日から行なわれたヤクルト3連戦で1勝2敗と負け越し、球団初の8カード連続勝ち越しはならなかったDeNA。それでもここまで46試合を消化して28勝18敗の成績を残し、2位・巨人に3ゲーム差をつけて首位を快走している。
※今季の成績はすべて5月22日現在のもの

 4番・筒香嘉智の覚醒やセットアッパーの田中健二朗からクローザー山崎康晃へとつなぐ"勝利の方程式"の確立。さらに41歳・三浦大輔の"奮投"など、好調の要因はいくつか挙げられる。そして進藤達哉ヘッドコーチにここまでの戦いを振り返ってもらうと、次のような答えが返ってきた。

「ピッチャーがなんとか最少失点に抑えて、打者は少ないチャンスを確実にものにする。そういう戦いができているのが大きいですね。あと、今年はホームでしっかり勝てている印象があります。ただ、他のチームも今年はホームで強いんだよね」

 そこで、今季ここまでのセ・リーグ各チームのホームとビジターの成績を見てみたい。

DeNA
ホーム:16勝6敗(勝率.727)
ビジター:12勝12敗(勝率.500)

巨人
ホーム:16勝6敗(勝率.727)
ビジター:9勝15敗(勝率.375)

中日
ホーム:17勝7敗(勝率.708)
ビジター:6勝16敗(勝率.273)

阪神
ホーム:12勝11敗(勝率.522)
ビジター:8勝13敗(勝率.380)

ヤクルト
ホーム:14勝9敗(勝率.609)
ビジター:6勝16敗(勝率.273)

広島
ホーム:13勝8敗(勝率.619)
ビジター:6勝16敗(勝率.273)

 進藤コーチが言うように、どのチームもホームで勝ち越しているのがわかる。ところがビジターでの成績を見ると、5割を死守しているはDeNAだけで、他の5球団はすべて負け越し。それも5球団合計で35勝76敗(勝率.315)と大きく負け越しているのだ。このビジターでの奮闘こそが、DeNAを首位に押し上げている最大の要因といえる。

 ちなみにパ・リーグを見てみると、ビジターで勝ち越しているのはソフトバンク(9勝8敗1分)と日本ハム(13勝9敗)の2チーム。5割が西武(11勝11敗2分)とロッテ(11勝11敗)の2チーム。そして負け越しているのが楽天(9勝13敗)とオリックス(6勝16敗1分)の2チーム。

 野球というスポーツは本来、ビジターチームが圧倒的不利を負うことはなく、2割、3割台の勝率に低迷する必然はない。そういう意味では、セ・リーグ5球団の低い勝率こそが普通ではないのだが、なぜDeNAだけが勝率5割をキープできているのだろうか。解説者の与田剛氏に聞いた。

「正直、理由はわかりません(笑)。ただひとつ言えることは、今年のDeNAには、劣勢であってもワンチャンスをものにして勝ち切れる強さがあります。ホーム、ビジターに限らず、自分たちの野球をしっかりしている。それがこの結果につながっているのではないでしょうか」

 そして与田氏が印象的に残っている試合として挙げたのが、4月28日からの広島、中日のビジター6連戦だ。この6連戦をDeNAは4勝2敗で勝ち越したのだが、勝った試合はすべて接戦で、5月2日の中日戦などは9回二死走者なしからの5連打で勝利をものにしていた。

「その前にDeNAは7連敗していて、あそこでまた連敗していたら、間違いなく今の結果はなかったと思います。あのビジター6連戦を勝ち越したことで、チームとして自信をつけたような気がします。それに、長いシーズンを戦う上で"苦手意識"だけは持ちたくない。そういう意味で、ここまで大きく負け越しているチームもないですし、ビジターを苦手にしているわけでもない。そこは大きいと思います」(与田氏)

 他の5球団が"内弁慶"ぶりを露呈する中、「たかが5割」ではあるが、DeNAの戦いぶりは賞賛されるべきであろう。決して勢いだけではないたくましさが、今のDeNAには確かにある。

スポルティーバ●文 text by Sportiva