スマホやタブレット、PCに潜む盗撮の危険「そのカメラ、盗撮されていませんか?」

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いまや、パソコン、スマートフォン、タブレットにカメラが搭載されているのは当たり前だ。

しかし、そのカメラが盗撮に使われているとしたらどうだろうか。
ありえない? いや、カメラがインターネットにつながっている以上、ネットの向こう側から遠隔操作されるリスクはつねにあるのだ。

●インターネットにつながっているすべてのカメラには盗撮のリスクがある
今年3月、朝日新聞はインターネットにつながるWebカメラのセキュリティ対策が不十分で、3割以上が誰でも映像・音声をネット上で見たり聞いたりできる状態になっていたという記事を掲載した。調査対象は2163台で、そのうち769台がこうした状態になっていたという。

調査されたのは店舗や住宅に設置されているWebカメラのようだが、パソコンやスマートフォン、タブレットに付いているカメラも、けっして無関係ではない。
たとえば、
2014年には、米国でパソコンのWebカメラを遠隔操作し、他人をのぞき見ることのできるソフトを販売した男達が逮捕された。

この事件の手口はこうだ。
まず、ターゲットとなる相手にメールを送りつけてウイルス感染させる。同時に相手のIPアドレスを割り出して侵入し、ネット越しにカメラにアクセスする。これで、いつでも相手を盗撮できるようになる。

スマートフォンやタブレットのカメラも安全ではない理由がここにある。
たとえばAndroidでは、
リモートアクセスとカメラの隠し起動を組み合わせることで、盗撮アプリを容易に作れるという。また、端末がスリープ状態でも盗撮を続け、サーバに送信するAndroidアプリのデモ動画も公開されている。

ちょっと周りを見回してほしい。いまあなたは、何台のカメラに囲まれているだろうか?
私は、数えたら6台あった。PCが2台、スマホが1台、タブレットが3台だ。
それはすべてインターネットにつながっている。そのカメラの向こうでは、誰かがあなたをのぞいているかもしれない。

●Webカメラの盗撮を防ぐには
では、Webカメラの盗撮を防ぐにはどうすればいいのだろうか。
パソコンに関しては、OSを最新の状態にし、セキュリティ対策ソフトを導入することだ。
カメラを乗っ取るには、OSの脆弱性を突いてウイルス感染させるのが一般的だ。このため、その対策は一般的なウイルス対策と変わらない。逆にいうと、パソコンの場合は、しっかりとセキュリティ対策していれば、Webカメラの盗撮はそれほど心配する必要はないともいえる。

しかし、それでもリスクはある。
もし、カメラをほとんど使っていないなら、カメラそのものを無効にするのもよいだろう。
OSの設定で使用不可にしてもいいし、Windowsであれば、デバイスマネージャでカメラを無効化することもできる。

iOSの場合は、
「設定」で「一般」の「機能制限」を選択し、「カメラ」を無効にする。
無効にするには、パスワードの設定が必要になる。
Androidの場合は、
「Camera Block」などのカメラ機能を無効にするアプリを利用する必要がある。

もちろん、カメラを物理的にふさぐのも効果的だ。付箋を貼ってもいいし、もっとスマートにふさぐなら、盗撮防止用のシールを購入してもいいだろう。

今後、IoTの時代になると、事態はさらに深刻化するかもしれない。
すでにカメラの搭載されたエアコンが販売されているように、身の回りのあらゆるモノに、センサーとして超小型カメラが搭載される可能性があるからだ。
それらがインターネットにつながっているかぎり、つねに盗撮のリスクがあることは、十分認識しておく必要がある。



【画面1】Windowsでは、OSの設定でカメラを無効にできる。




【画面2】iOSでは、「設定」で「一般」の「機能制限」を選択し、「カメラ」をオフにできる。


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井上健語(フリーランスライター)