キューズ・ネット買収について

──キューズ・ネットについて、当時知っていたことは。

 「出会いステーション」という出会い系サイトを運営していた。あと、最初有限(会社)だったと思う。

──あなたは買収には賛成していたのか。

 あまり賛成でなかった。どちらかというと反対。出会い系サイトをLDでガンガン運営していけるのかという議論があり、やっていけるのか心配があった。LDグループは二束三文というか、持っている現金だけで買うというのが多かったから、それにしては高めかなあ、と。楽天さんが買うならリーズナブルだろうが。

──買収方法については。

 現金買収だと思っていた。十分なキャッシュがあったから。

──JMAMサルベージ1号投資事業組合というファンドで買ったことは。

 知らない。宮内さんから「JMAMサルベージ」という言葉は聞いたことがない。

ロイヤル信販買収について

──ロイヤル信販について、当時知っていたことは。

 中堅規模の消費者金融。調達金利が9%とか10%とか高い。LDが下げれば、もっと儲かると。

──株交になったのは。

 知りません。

──サルベージで買ったことは。

 知りません。宮内さんから報告は受けていない。

──サルベージというファンドは知っていたか。

 はい。四季報の株主欄に聞いたことがないファンドがあったので、熊ちゃんか宮内さんに「何これ」と聞いた。「知りませんね」と言われたが、JMAMサルベージは印象深い。

──ドクターハウリ(スイスの信託会社)は知っているか。

 知りません。

──ケンドリス(スイス系の信託会社)は。

 知りません。

──エバートン(英領ヴァージン諸島にあるペーパーカンパニー)は。

 知りません。

──フリーマントルは。

 知りません。

──宮内さんが白井さんから45億円を借り入れたことは。

 知りません。

──宮内さんがLDの預金を担保に、クレディ・スイスから50億円近い融資を受けていたことは。

 知りません。(強い調子で)

──03年11月ごろ宮内さん中村さんが、野口さんにインサイダーのおそれがあるとして、香港でファンドを作ることになったと報告したと証言している。

 そもそも、宮内さんと中村さんが連れ立って私の席に来たということはない。

──03年12月ごろは、宮内さん中村さんはイーバンクに行っていた。その時、2人が来たら覚えているか。

 そもそも中村さんと宮内さんが連れ立ってくる意味はない。中村さんが説明できることは、宮内さんもできる。どちらかが来れば、用は足りる。忙しい2人が連れ立って来る意味はない。

──03年12月、宮内さんと中村さんは「野口さんがもう一個ハコを用意して、香港のゲインウェル証券で売るが、口座開設が1−2週間遅れる」といい、あなたが「株価下がっちゃわないか」と心配していたと証言していたが。

 そういったことはありません。

──中村さんの証言によれば、あなたが口座開設が1週間遅れることで株価の下落を心配していたとのことだが。

 ないと思う。株価の動向は自分でチェックしているし、将来の動向は聞いても仕方がない。

──VLMA1号、VLMA2号という名前を聞いたことは。

 ないですね。

──04年3月ごろ、宮内さんと中村さんが一緒にいる所で、中村さんが図面を書いて説明したことは。

 ありません。

──手元の紙にぱっと書いて説明されたことは。

 ないですね。ありえない。僕は自分で図を描くことはあるが、書いてもらったことはない。書かれたら怒ると思う。大した図じゃないんでしょ。口頭でわかる。手で書ける図なら、中村さんや宮内さんが記憶している程度。その程度なら話で理解できる。中村さんや宮内さんが記憶できないくらい複雑なら、塩野とかに図を作らせる。だから、手描きの図はありえない。

──(図を示して)宮内さんはこのような図を示して説明したと言っている。

 ないですね。こんな図描き始めたら、「描くなよ」とか「描かなくていいっすよ」と言ったと思う。

──04年3月15日に発行されるLD株がどうなるか、説明は受けなかったということですか。

 そうですね。

──関心もなかったのか。

 はい。

──(04年3月に中村被告が堀江被告に送ったメールが示される)

 見た記憶はないですね。“to”で来ているので、開いた可能性はある。

──中村さんはこのメールに対して、比較的早い段階であなたから返信が来たと言っている。

 ないですね。

──(3月24日21時36分に中村被告が送信していることを示す堀江被告のメールの受信簿が提示される)返信を表す矢印がないですね。

 そうですね。

──中村さんは、メール返信後にわざわざあなたが来て「気持ちいいですね」「すごいですね」と言ったと証言しているが。

 ないですね。夜なので、おそらく外に出ていると思う。

──(3月24日のブログが示される。「夜は銀座で和食。遅くなったので自宅でDVDを観て寝てしまう」。また、「19時30分発、20時着。築地さんと食事」スケジューラーも示される)

 そもそも、前のスケジュールが押して、会食には遅刻してる。会食のスタートが20時半から21時になっていた可能性もある。会食しているので、中村さんと会うことはありえない。

上方修正について

──連結経常利益20億円から30億円へ上方修正した経緯は。

 第1四半期で6−7億円の経常利益が出ていた。それで単純に4倍にした。その上で、LDの決算は下期偏重だったので、プラスアルファした。

──最初に言い出したのは誰か。
 
 いやー、わからないですね。

──予算担当者に上方修正の作業を指示したのは誰か。

 わからない。私ではない。取締役会で上方修正を決めて、誰かが予算の組み換えを指示した。

──取締役会で、誰かに強く反対された記憶は。

 ないです。

──(上方修正のリリースを示す)有価証券の具体的な内訳は分かるか。

 具体的にはわからない。イーバンクだけで余裕で20数億円は超える。

──あまり違和感なかったと。

 はい。

──その中に、あなたが貸し株したLD株の売却益に由来するものが入っていると思ったか。

 思いません。

──連結経常利益30億円から50億円への上方修正はなぜ行ったのか。

 業績が好調だったから。4月からライブドア証券が連結されていた。ライブドア証券は好調だった。5月20日の取締役会の時点で、(連結経常利益は)20数億円はいっていた。さすがに30億円は超えるだろうと。そうしたら上方修正しないと。投資家に適正な情報を出さないと開示義務違反になる。

──誰が50億円と言い出したのか。

 覚えていない。

──50億円と言った時、イーバンクやインタートレード株の売却益は頭に入っていたのか。

 バッファーですね。

──重要な案件で、あなたの意見が通らなかったことは。

 イーバンク。ニッポン放送の経営権の取得を続けるか否かが問題になった時も、僕以外は「続けない」。僕は解任されそうな勢いだった。

つづく

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