ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告(33)の第11回公判が3日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。検察側証人として出廷した金融子会社「ライブドアファイナンス」(LDF)元社長、中村長也(おさなり)被告(39)=分離公判中=が前回に引き続き証言を行った。中村被告は、関連会社ライブドアマーケティング(LDM、現メディアイノベーション)が出版社マネーライフ社を買収する際、同社の価値を過大評価した上で買収することを、堀江被告が了承していたと証言した。

 検察側の質問に対し中村被告は、マネーライフの過大評価について、LDMとマネーライフの株式交換の際、LDM株を多く発行させ、LDに売却益を環流させるための方法であると証言。堀江被告も、2004年9月に開かれたLDFの定例会議で、LDMがマネーライフを過大評価した金額で買収するとの報告を受けていた。

 報告を受けた堀江被告は、「何それ」と応じ、それに対して宮内亮治被告(39)が、マネーライフの企業価値に1億5000万円上乗せする方法を具体的に説明。LDM元社長、岡本文人被告(38)が「私が買います」と話すと、「へえ、岡本さんとこで買うんだ。メディアほしがってたしね」と小馬鹿にするような感じで話していたという。

 一連の会話のやりとりを受けた中村被告は、「(企業価値を過大評価し買収する)内容について、(堀江被告が)その場で了承したと思った」と当時の認識を述べ、理由については「岡本さんに対する発言でそう思った」と話した。

 さらに中村被告は、宮内被告が堀江被告に上乗せを報告する場面に居合わせたと証言。「LDMとマネーライフの株交(株式交換)の件だけど、マネーライフの企業価値に上乗せします」と宮内被告が説明すると、堀江被告が「いいね、それ」と応じたやりとりを耳にしたという。

 中村被告はこの日、ゆっくりと言葉を選びながら検察側の質問に答えた。話が核心部分に触れると沈黙する場面もあったが、終始、堀江被告と目を合わせることはなかった。堀江被告は、まっすぐ前を向いて表情を変えることはなく、時折ノートにペンを走らせメモを取る様子も見られた。

 次回は4日、中村被告に対する弁護士側からの反対尋問が行われる予定。【了】

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