新体制下でも前線の軸に据えられるであろうストライカーは、「自分たちを変えようとしてくれているのが分かる」と新監督の指導をポジティブに受け止めている。(C)菅原達郎(サッカーダイジェスト写真部)

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 まるで箝口令でも敷かれているかのように、選手が次々とミックスゾーンを流れていく。
 
 アジアカップ期間中はあれだけ多弁だった長谷部でさえ、止まって話したのはわずか1分強。ハリルホジッチ監督の初陣に関する“ヒント”をまったく与えてくれなかったが、その後に少しすっきりした表情で現われた岡崎は、短い時間のなかでも興味深い話をしてくれた。
 
 ハリルホジッチ流のトレーニングを数日間こなした岡崎が、何度も口にしたのは「意識」という言葉だった。
 
「狭いスペースのなかでも少ないタッチでやるような練習が多いと思います。(頭で)分かっていても、速いサッカーをやるのは難しい。(それを実践するには)根本から、トレーニングのところから、変えないといけない。
 
 自分たちは知識を持っていますけど、(身体への)意識付けはそう簡単にできない。これまでポゼッション型のサッカーをやってきた自分たちにとっては、特にそう思います。
 
 だから、この合宿で頭に入れて意識してやっていく。やり続けるのが大事ですね。監督からそういうメッセージをもらっている最中です。意識付けが今回の代表活動でのテーマだと思います」
 
 1月のアジアカップでUAEに敗れた直後、岡崎は代表の現状を次のように捉えていた。
 
「ワールドカップに続いてアジアカップでも突き落とされた感覚。勝てなかったということは、大事ななにかがないのかなと。それを見つけるのはなかなか難しい。これからどうしたらいいんやろ、みたいな感じです。まずは一番大事なものを探さないといけない」
 
 ハリルホジッチ監督の下で数日間トレーニングをした岡崎には、大事ななにかが見えかけているのかもしれない。
 
「(シュート練習に関しても)しっかりボールに当てて、GKを見て狙うとか、だいたい基本的なことを話されます。これも言ってしまえば“意識させること”ですよね。そういうのを監督自ら言ってくれるので気持ちが伝わるというか、自分たちを変えようとしてくれているのが分かる。今は(監督も僕たちも)同じ方向に向かっていると思う。僕たちは強くなりたい、監督は強くしたい。そういう想いでみんなやっていますから、結果的に良いものになればいいです。もっとも、(意識付けも)簡単には身に付くものではない。とにかく大事なのはトライし続けることです」
 
 二度もどん底に突き落とされたストライカーは、果たして、そのトライの先になにを見るのだろうか。