「かっぱ寿司」が「牛角」などを擁するコロワイドに買収されたのをキッカケに、大再編の噂もささやかれる回転寿司業界。しかし、中には“行ってはいけない店”も存在する。

そこで「ネタとシャリのあんばいを見れば、ほとんどのことがわかる!」と豪語する食品安全教育研究所主宰の河岸宏和氏と、回転寿司店などにネタを卸す水産会社社長の氏、ふたりの目利きが登場。どこで良しあしをジャッジしているのか、実際に店舗でチェックしてみた。

取材にあたって、河岸氏がこう前置きをする。

「円安による魚価の高騰で各チェーンが苦しむ中、それでもうまさと安さの両立にこだわる企業、コストダウンを優先する企業…と、各社の方針に明確な差が出ています。それは、よりシビアさを求められる100円均一チェーンを見ることで如実に浮かび上がってくるんです」

ということで今回は河岸氏、X氏とともに100円均一の回転寿司店を潜入調査! 東京都内にあるA店を訪れた。

河岸氏が口火を切る。

「回転寿司店の実力を知るには“シャリ”を見るべき。寿司はシャリこそがおいしさの決め手なんです。例えば…」

そう言って目の前に流れてきたエビの皿を取る河岸氏。

河岸「ネタを外して、シャリだけで食べてみてくださいな」

―…生温かいですね。

河岸「高級寿司店がそうであるように、炊きたてのご飯で作った人肌ほどに温かいシャリに冷たいネタをのせて出すのが本来の寿司。この店も酢飯を店内で頻繁(ひんぱん)に作り、シャリの温度にもこだわっているのでしょう」

―逆にダメなシャリとは?

河岸「冷え切ったシャリを使っている店は、厨房で炊かず工場からの仕入れ品に頼っている可能性が高い。仕入れ品と店で炊いたご飯では味が段違いです」

―では、ネタの良しあしを見抜くコツはあるんでしょうか?

河岸「店舗が味を追求しているか、儲(もう)けを優先しているかの姿勢は“鉄火巻き”に表れます」

鉄火巻きを注文すると、2分後に特急レーンで運ばれてきた。

河岸「鉄火巻きのマグロの状態を確認することで“本物”か“偽物”を見極めましょう」

―偽物のマグロというのは?

河岸「安物の赤身に植物油脂を混ぜ込んだものです。質の悪い赤身だけではおいしくないため、20%ほどの植物油と添加物をたっぷり混ぜて“トロっぽさ”を出し、それを細かく砕いて四角く成形。適当なサイズに包丁で切ってシャリとのりで巻けば鉄火巻きの出来上がりです」

…と、河岸氏がおもむろに鉄火巻きの中の赤身を皿に取り出し、指でつまんでみせた。

河岸「この店は本物。偽物は軽く指で押しただけでグニョッと潰れる。本物は潰れません」

―なるほど。では“にぎり”のマグロはどうでしょう?

河岸「この店は店内でマグロをスライスしているのでしょう。その証拠に切り身の角がピシッと立っています。逆に、工場で切り分けられたマグロは切ってから時間がたっているので角がだれて丸くなる。むろん、そうしたマグロはうまみが抜けて味も鮮度もガタ落ちです。

ただ、この店の寿司ネタはよく見ると同じネタでも皿によって大きさがバラバラだし、切り口も雑。それがもったいない。Xさん、どう思います?」

「このチェーンは、仕入れたマグロを即冷凍し、ブロックに切り分け、梱包、出荷までを冷凍状態で行ない、各店舗で解凍しています。マグロは目玉商品だから鮮度にはこだわっているようですが…これ、スジが縦じまでしょう。店でブロックから柵に切るときにスジと平行にカットした結果です。

本来はスジに対して垂直にカットすべきで、横じまになってなきゃいけないんですがね。縦じま模様のマグロはスジが引っかかって噛み切れず、食感も悪い。

そうなってしまうのは柵取りの経験が浅いから。このチェーンは数年前にセントラルキッチンを廃して店内調理に切り替え、各店舗で技術指導を進めている段階なのでしょうが、ここは全般的に未熟ですね」

同じチェーンであっても、このように店ごとにばらつきはある。上記のような好条件に当てはまる店舗を見つけたら掘り出し物だ!

(取材/興山英雄)

週刊プレイボーイ5号(1月19日発売)「行ってはいけない回転寿司点を見破る10の方法!」より