青木宣親の後釜の評価は?【写真:田口有史】

FAとなった青木の後任「リオスに決めてしまった」

 ロイヤルズがフリーエージェント(FA)となった青木宣親外野手の後釜として右翼手を獲得したことが、今オフのワースト補強に選出された。ESPNが「現時点でのベスト&ワースト補強3」との見出しで特集している。

 今季、1985年以来となるプレーオフ進出、そしてワールドシリーズ出場を果たしたロイヤルズは、更なる飛躍を目指して今オフも積極的に動いているが、不名誉な“最低補強”の汚名を冠せられてしまった。レンジャーズからFAとなっていたアレックス・リオス外野手の獲得が、特集でワースト1位に選ばれた。

ロイヤルズは右翼手の強化を過去数年、模索してきた。今オフにはジャスティン・アップトン、マット・ケンプ、ヨエニス・セスペデス、ネルソン・クルーズ、マイケル・モース、メルキー・カブレラの獲得に動いた。ノリチカ・アオキとの再契約も試みた。だが、最終的にはリオスに決めてしまった。今季、レンジャーズでは4本のホームランしか打っていないが、そのうちの1本は(ロイヤルズの本拠地)カウフマン・スタジアムでは入らなかったものだ」

 寸評ではこう分析している。

 青木が契約満了となったため、ロイヤルズは長打力を誇る右翼手をFA市場とトレードで獲得しようと試みたが、資金力に限界があるために、条件面がネックとなり実現しなかった。青木との再契約も求めたが、条件面で合意できず。そこで獲得したのがリオスだった。

今季は低調だったリオスに年俸13億で「正気か?」

 今季は不振のレンジャーズで131試合に出場。高温乾燥というテキサスの気候から打球が飛びやすい「ヒッターズパーク」の本拠地で、打率2割8分、4本塁打、54打点の成績に終わっている。

「リオスが来季、復調すると賭けて獲得することは悪いアイデアではない。彼は自身のキャリアで平均15本塁打、70打点が可能であることを証明している。だが、1100万ドル(約13億円)も支払って? 正気か?」
 
 記事では、ロイヤルズがFA市場でさして人気のなかったリオスを適正価格からはかけ離れた高額条件で獲得したことを疑問視している。

「(今オフに獲得した)リオス、ケンドリー・モラレス、エディソン・ボルケスの3人にロイヤルズは2950万ドル(約35億円)も支払うことになるが、それなら、なぜ(タイガースからFAとなった)マックス・シャーザーを獲得しないのか。もしくは、マリナーズとのクルーズ争奪戦やホワイトソックスとのカブレラ争奪戦を制することもできたはず。リオスに対しては年俸500万ドル(約6億円)に加え、達成ボーナスという条件なら理解もできる。だが、今年の成績のリオスに対してこの契約はとんでもない」

 寸評では青木の後釜との契約内容を過払いと酷評している。

 ワースト2位は、ロッキースからFAとなっていたブレット・アンダーソン投手のドジャース加入。寸評では、故障に悩まされ、過去3シーズンとも45イニング以上を投げることができなかったアンダーソンに対して、年俸1000万ドル(約12億円)は市場価格から大きく乖離していると分析。だが、アスレチックス時代の(11勝を挙げた)2009年、(防御率2.80だった)10年シーズンのような健康とポテンシャルを取り戻せるのなら、大当たりの補強になるとも指摘している。

ワースト3位もロイヤルズの補強、今季のア・リーグ王者のさらなる躍進は?

 そして、ワースト3位では再びロイヤルズの補強が挙げられている。マリナーズからFAとなっていた指名打者のケンドリー・モラレス獲得だ。今オフ、FAでアスレチックスに3年総額3000万ドル(約36億円)という条件で移籍した生え抜きの指名打者、ビリー・バトラーとの費用対効果の違いがその大きな理由だ。

「バトラーは今年の成績は下がったが、ロイヤルズに戻りたがっていた。キャリア全般において堅実なバッターであり続けた。ロイヤルズは彼を3年契約での年俸1000万ドルでオークランドに手放す代わりに、モラレスと年俸850万ドル(約10億円)の2年契約で合意した。モラレスの成績は今季、401打席で打率2割1分8厘、出塁率2割7分4厘、長打率は3割3分8厘。二塁打20本、8本塁打、42打点に過ぎない。2010年のサヨナラホームランで故障(エンゼルス時代の5月29日のマリナーズ戦でサヨナラ満塁弾を放った後、喜び過ぎてホームベースで転倒し骨折)してからは、かつての選手ではない」

 記事では、今季はマリナーズで不振に終わり、チームのプレーオフ進出のブレーキとなったモラレスの実力低下を指摘している。
 
 更にはバトラーの方がモラレスよりも成績が良く、3歳も若い点、09年から13年までホームラン15本以上を放っていた点、ロッカールームでもファンの間でも人気者だった点を指摘。「150万ドル(約1億8000万円)余計に支払うことでバトラーを慰留することが賢い選択だった」と、モラレスとの契約は実に悪手であると指摘している。

 リオスの獲得で青木のロイヤルズ残留は絶望的となった。今季、堅守と走力を全面に押し出す爽快な野球でプレーオフを席巻したロイヤルズだが、疑問の声も上がる補強で、来季は更なる躍進を果たすことができるのだろうか。