それで、韓国戦で気持ちが入らない選手はまずいないだろうし、アウェーの緊張感もあるなかで、前日にこうしようとか話して、逆に気持ちが高ぶりすぎて、モチベーションが空回りするのも良くないなとも思って。結局、ミーティングはしませんでした。端から見れば、自分の性格的にミーティングをしたくなかったんじゃないかと思われるかもしれないですけど、自分なりにいろいろと考えてのことだったので」
 
――周りのことをすごく考えて出した結論だと思いますが、でも変に誤解されていたら……。
「他の人が何を言おうが、自分なりに考えての結果なので。その時の判断が悪かったというなら、次に生かすしかないですし、後悔もありません」
 
――キャプテンらしい行動と言えば、韓国戦の序盤、鈴木武蔵選手と相手のキム・ミンヒョク選手が少し小競り合いになった時、仲裁に入っていたのも印象的でした。
「特に意識してなかったのですが、自然とそういう行動に出ていたのかな。立ち上がりからそんなにバチバチやり合っても、という思いもあったのかもしれません」
 
――キャプテンでなかったら?
「どうですかね。ただ、今までは本当に無関心というか、他でやり合っていても興味を示さなかったり、どう攻めようかとか考えていて、仲裁に入ったりはあまりしてこなかった気がします」
 
――ちなみに、キム・ミンヒョク選手は鳥栖に所属するJリーガーでもありますが?
「Jリーグでやっている選手が何人かいるのは知っていたのですが、日本語を話す人が多すぎて(笑)。試合前の握手をする時も、『よろしく』ってかなり日本語で言われて、あれ、この選手も、みたいな(笑)。それで誰が誰だかちょっと分からなくなった部分はありましたね」
 
――韓国戦、特に後半は押し込まれる時間が長くて、難しい展開だったと思います。
「少し下がり過ぎていたというか、相手の2ボランチの一枚がフリーになっていて、そこを起点に嫌なボールを入れられるのが長く続いていたんです。それで航と『俺が前に行こうか?』『僚太が行く?』『縦関係になろうか』みたいな話はしていたんです。武蔵をひとつ落とすのも手だったんですけど、それはそれで相手のCBからドカーンと来るだろうと思って。プレッシャーを与えるためにも少し前に出ようかと考えていたら、(原川)力が入って4-3-3になった」
 
――大島選手のポジションは2ボランチからインサイドハーフに。一列前になったことで、相手のボランチにも行きやすくなった。
「そういうゲームを読む力が足りなかったし、もっと早く自分が前に出たほうがいいと判断すべきでした。監督も、自分たちで判断していいという考えだし、単純に自分たちの行動力と判断力がなかったと思います」
――PKを与えたプレーについても改めて聞かせてください。エリア内で宙に浮いたルーズボールの奪い合いで、試合後に大島選手自身が語っていたように、『(ヘッドで)中に入れられるのが嫌だった』から競りに行った結果、ジャンプしなかった相手に乗りかかる形でファウルを取られました。少なくとも意図のあるプレーだったし、“軽率なファウル”という見方には違和感があります。
「でも本当にファウルはいらなかったし、もう少し待てば良かったとは思います」
 
――それこそ結果論で、仮にあそこで大島選手が飛ばずに、相手にヘッドで折り返されて失点につながれば、“なんで競らないんだ”と間違いなく言われたはずです。
「何を言われても構いませんが、結果的にPKを与えたのは事実なので、責任は感じています。ただ、自分の中では意図があったし、おそらくJリーグで同じようなシーンがあっても……実は、この前のナビスコカップのガンバ戦で、少し似たような場面があったんです。それは友だちからも『韓国戦みたいだった』とか『ちょっと焦った?』って聞かれましたね」