いまいち実感がわきにくい戦国時代の話も、現代風に表現すれば分かりやすくなる。

例えば戦国時代の「中国大返し」。秀吉軍が信長を殺した明智光秀と対決するため、中国地方から京都の山崎まで、8日で200kmを駆け抜けたエピソードだ。例えばこれをマラソン大会風に表現してみれば、どれだけハードな事なのかリアルに実感できないだろうか。

早速、高校生の佐谷戸ミナさんに甲冑を着てもらい、冒頭のポスターを作ってみた。



「中国大返し」のスタート地点は、備中高松城。現在の岡山県岡山市だ。この城に立てこもっていた毛利方を、秀吉軍は軍師、黒田官兵衛の献策により水攻め。これにより高松城は孤立、勝利は目前となるが、本能寺の変が起こり、信長が明智光秀によって殺されてしまう。



信長の死は戦国のパワーバランスを一変させる。信長の敵は未だ多く、一気に盛り返してくれば、遠征中の秀吉軍は敵に囲まれ全滅する恐れがある。事実、信長の命令で関東を攻略していた滝川一益は、本能寺の変を知った北条家の攻撃を受けて大敗している。

ちなみに信長に敵が多かったのは、様々な既得権を打ち破り、恨みを買ったことも原因だ。自由に商売できる楽市・楽座や、不要な関所の撤廃などで経済を活性化させたが、それは既存の寺社や守護大名の経済を脅かす行為だった。これについては次の番組が詳しい。

7月20日(日)深夜1:10〜放送
Eテレ「先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)・選(再放送)」
決め手は不満解消〜織田信長 既得権を打ち破れ〜



さて、信長の死を知って呆然とする秀吉に、黒田官兵衛は「明智光秀を討ち取れば、天下への道が開ける」と進言。信長の死を隠したまま毛利方と和睦し、光秀がいる京都・山崎に強行するという秘策を提案する。ちなみにこのエピソードの詳細は、次の番組で見られる。

7月20日(日)放送 NHK大河ドラマ軍師官兵衛
第二十九回「天下の秘策」

そして毛利方と和睦を結んだ官兵衛は、8日で200kmを移動する前代未聞の計画を立てた。マラソン大会の準備で言えば、次のように、通過する地点に前もって周知し、受け入れる準備をしてもらう必要がある。



実際に官兵衛と秀吉は、事前に通行路を守りで固め、周囲の勢力に対して、「信長はまだ生きている」という嘘の情報を送った。移動を妨害されないようにすると同時に、光秀に味方しないように牽制したのだ。この中国大返しの様子は先ほど紹介した番組で見られるが、ドラマでどのように描かれるか注目だ。

7月27日(日)放送 NHK大河ドラマ軍師官兵衛 
第三十回「中国大返し」