家電の位置付けの携帯電話とは異なるスマートフォン、「買ったママ」じゃダメ

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社会的にもその「依存度」が問題になるほど、スマートフォンやタブレットはもはやなくてはならない身近なデバイスだ。だが、スマートフォン・タブレット類をこれまでの「家電」の延長で考えているとちょっとまずい事態になることもある。

◎OSのバージョンアップは必須
まず欠かせないのはOSのバージョンアップだ。「OSって何?」と思うかもしれない。コンピュータなど、いわゆる「システム」全体を管理するソフトウェアのこと。要は、スマートフォンはパソコンなのだ。パソコンの場合と同様、セキュリティなどの問題を解決するために、OSがよくバージョンアップされる。もちろん、機能の改善や新機能の追加などの前向きなバージョンアップもある。

いずれにせよ、スマートフォンやタブレットではOSのアップデートは必須だ。Android、Windows Phoneといずれのスマートフォン・タブレットでも、OSの自動更新(あるいは更新チェック)機能がある。これは必ずオンにしておこう。

◎家電はどうして「OSバージョンアップ」がないのか?
「これまでの携帯電話ではそんな必要はなかったのに、どうして?」と思うかもしれない。携帯電話にも、もちろんシステム全体を統轄するOSは存在する。こうした家電に搭載されるOSは「組み込みOS」と呼ばれ、簡単にいうと、機能が限定されている、個々のハードウエア(端末)専用となっているケースが多いため、悪用するにしてもその余地が少ないのだ。

もちろん、大きな問題が発生することもある。ただその場合でも、デバイス側にOSのバージョンアップする機能が用意されていることは少なく、多くはメーカーがリコールなどの手段を取り、該当機種の回収を行うという形だ。逆に、何か問題があればそこまでコトが大きくなってしまうので、徹底的なテストが行われ、完璧に近い状態でリリースされてきたとも言える。

スマートフォンは家電じゃない
では、スマートフォンのOSも徹底的なテストをすればいいじゃないか。というと、そうもいかない。もちろん、スマートフォンのOSもさまざまな、厳しいテストがされている。ただ、パソコンもそうだが、組み込みOSとは異なり、利用者がいろいろな用途に使えるようにそもそも設計されており、。使用の自由度が高く高機能な分、防御にはどうしても限界はある。

先日も、iOS 7.1.1でパスロックを解除することなしに連絡先にアクセスできるバグが見つかったとする情報がウェブに上がった。動画で公開されたこの手法は、バグというより、想定しない手順を幾重にも重ねることで「ソフトウェアを誤摩化す」形で連絡先にアクセスしているのだ。

こうしたハックの手法は日々進化している。OSメーカーも対策をとっているが、全てを防ぐことはできていない。使う側の私たちは、スマートフォン・タブレットに使われているOSはその脅威にさらされているということを理解しておこう。OSをバージョンアップしたら「アプリはどうなるの?使えなくなったら困る!」というのが、利用者が最も気になるところだが、スマートフォンそのものに深刻なトラブルが起こってからでは遅いのだから。


大内孝子