京都府と滋賀県にキャンパスを構える立命館大学では、’13年12月から、食堂の朝食が100円で食べられるシステムを導入している。記者が訪れたびわこ・くさつキャンパスでは、朝8時15〜40分までの25分限定で、日替わりのおかずが9品から自由に選べる。

春巻き、コロッケ、魚の塩焼きなど主菜のほか、卵焼きやおひたしなど副菜もズラリ。栄養バランスも配慮されている。ご飯にみそ汁に好みのおかずを3品選べて100円だ。もともと朝食の値段は260円だったが、差額を父母教育後援会が補助することで、100円朝食は実現した。

「本学は学生の55%がひとり暮らしで、全国でもかなり多いほうです。子供の健康を気遣う保護者の声が多くありました。朝食をとらなくなるとともに、朝、起きられなくなり、生活のリズムを崩してしまう学生も多い。これが学業の妨げになることを懸念し、父母教育後援会が『なんとかしないと!』と、この100円朝食を発案したのです」(立命館大学父母教育後援会事務局・宗重信也さん)

まずは’13年の10月21日から10日間、試験的に「100円朝食」を実施した。

「すると、朝の食堂の利用者が300人を超え、導入前の2.3倍に増加しました。一方で、併設するコンビニの利用者数も減らなかったことから、純粋に食堂で朝食を食べる学生が増えたことがわかりました」(立命館大学広報室・河口真衣さん)

学生への聞き取り調査でも、ふだん、朝食を食べない学生の6割以上が「100円だから食べに来た」と回答。そこで、当初は’14年4月から予定していた全面導入を、’13年12月に前倒ししたそうだ。

「朝、食べないとシャッキリしないので、朝食はしっかりとるようにしています。でもひとり暮らしで、料理もほとんどできないので……。自宅ではバナナかヨーグルトですが、ここに来れば親が作ってくれるようなものが食べられるのが、ありがたいです」(ひとり暮らしの男子学生)

「私もひとり暮らしなので、自宅で食べるのはトースト程度。100円でこれだけ食べられるなら、女子には十分なボリュームです。朝食を食べないと、お昼まで授業に集中できません」(ひとり暮らしの女子学生)

1限目の講義がなくても朝食をこの食堂で食べ、自習後に授業に出るという感心な学生も多いとのこと。

「8時40分ギリギリに来て『セーフ!』と言っている学生も見かけますが、ほほえましいですね(笑)。勉学の後押しはもちろん、朝食をきちんと食べるという生活習慣を身につけて社会に出てほしい、というのも、この取り組みの狙いです」(宗重さん)