「金城武の木」ブームに地元農民カンカン/台湾・台東

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(台北 15日 中央社)金城武が出演したエバー航空のCMに登場する台湾・台東のロケ地で、広大な田園風景とその中にただ1本ぽつんと立っている美しい木が有名になり、毎日少なくとも数百人の観光客が押し寄せ、ゴミのポイ捨てやでたらめな駐車、写真撮影などで付近の農民が迷惑を被っている。

CMは金城が独り木の下で辺り一面に広がる稲穂の波を眺めながらお茶をひと口、「I see paradise」とつぶやくというもの。これを見たファンが村を訪れるようになり、夏休みに入ってからはふだんの10倍の観光客が押し寄せ、皆金城の真似をして木の下に座り、稲穂を眺めているところをデジカメに収める。

この一帯の田んぼを管理している蔡金源さんは「金城の木」を植えた本人でもある。しかし、農作業で農具の出し入れをする際には道路が観光客にふさがれ、非常に危険。また、田んぼの中にはアルミ缶やガラス瓶などゴミが捨てられたままで「我々農民が裸足で入って怪我でもしたらどうするんだ。いっそのこと木を切り倒してしまえ」という怒りの声さえ出ているという。

地元では「金城の木」は長くは続かない一時の流行りだと思ってずっと我慢してきた。しかし、夏休みに入ると村はもっとたくさんの人であふれかえり、小さな農道さえも自動車が走るあり様で農民らはあきれかえっている。

一方でこれを台湾東部、米どころの池上についてもっと知ってもらい、名産「池上米」を宣伝するチャンスにしようと考える人もおり、観光客の急増と米の売り上げが伸びることを期待する農民もまた少なくない。

(編集:谷口一康)