ルター氏によると、パペットでの表現を得意とする「Whole Hog Theatre」は今回もそうした演出を軸に考えているとのことで、「3人の人間でパペット1体を操ることでスケール感が出ます。

人間の役者は15人で、『もののけ姫』の73人にもなる登場人物を演じ分けていきます」という。

日本でこれだけ人気の作品を舞台化するということに責任を感じていると語るルター氏に、鈴木プロデューサーは「映画と舞台は違うから大胆に変更や解釈を加えた方が面白いですよ」とアドバイスする。

もっとも、スタジオジブリとしてはあくまで協力という立場であり、ストーリーや演出を始め、舞台化に対して何か意見をしたり監修したりすることはないという。

鈴木プロデューサー曰く、「許諾するということは相手を100%信頼することであり、すべて任せるということ」なのだ。

むしろ鈴木プロデューサーが期待するのは、「イギリスの人が僕らの作ったものをどう解釈して舞台化するのかを楽しみたい。

小さくまとまるんじゃなくて、破綻したものでもいいから面白くて変な『もののけ姫』を見たい」ということである。

なぜなら「宮崎駿監督はアイルランドのキリスト教以前のヨーロッパの宗教に興味がある。

『もののけ姫』はそういうものに影響を受けてできた映画」であり、「日本人が受け取ったものがイギリスでまた新しく解釈され、そうやって行ったり来たりするのが楽しい」からだ。

今回の「もののけ姫」舞台化は、いわばルーツとなった文化同士による交流なのである。

17年前に日本中を熱狂させた「もののけ姫」が、イギリスに渡りどう解釈され生まれ変わるのか。

宮崎駿監督作品初の舞台化に今から注目が集まっている。

なお、公演詳細は下記の通り。

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