シカゴ・ホワイトソックスのアダム・ダンにとって、2012年は記念すべき年になるかもしれない。

 昨シーズンの大不振から甦り、本塁打・四球・三振の「一塁まで疾走せずに済む三冠王」に向けて驀進中。過去、同一シーズンにこの3部門すべてにおいてリーグ最多を記録した選手は以下の5人だけだ。いずれも後に殿堂入りしている。

■一塁まで疾走せずに済む三冠王
ベーブ・ルース(1923、1924、1927、1928年)
ハック・ウィルソン(1930年)
ミッキー・マントル(1958年)
マイク・シュミット(1983年)
デール・マーフィー(1985年)

 ダンは、2009年にマーク・レイノルズ(現ボルティモア・オリオールズ)が樹立した223三振のシーズン最多記録を塗り替えようともしている。また、ホームラン王となれば初のタイトル獲得だ(三振は2004〜06年、四球は2008年にリーグ最多)。

 さらに、ホワイトソックスにはポストシーズン進出の可能性がある。そうなれば、ダンにとっては初の大舞台になる。

 ダンは今シーズンがメジャー12年目。昨シーズンまで、シンシナティ・レッズ、アリゾナ・ダイヤモンドバックス、ワシントン・ナショナルズ、そしてホワイトソックスの4球団でプレーしてきたが、ポストシーズンはおろかシーズン勝ち越しすら、途中加入した2008年のダイヤモンドバックスでしか経験していない。

 通算出場1701試合は、ポストシーズン未出場の現役選手ではダントツ。2位のバーノン・ウェルズ(ロサンゼルス・エンジェルス)より100試合以上も多い。

■ポストシーズン未出場の現役選手・出場試合トップ5
アダム・ダン/シカゴ・ホワイトソックス/1701
バーノン・ウェルズ/ロサンゼルス・エンジェルス/1585
ジャック・ウィルソン/※/1370
タイ・ウィギントン/フィラデルフィア・フィリーズ/1297
アレックス・リオス/シカゴ・ホワイトソックス/1273
(9月3日時点。ジャック・ウィルソンは8月末にアトランタ・ブレーブスから解雇)

 ダンがポストシーズン初出場を果たすだけでなく、ワールドシリーズまで進めば、もうひとつのおまけもある。ナ・リーグの本拠地での試合にはDHがない。近年めっきり機会が減っている外野守備によって、打席では動きが少ない分までハラハラドキドキさせてくれることだろう。