1日の家族全体の収入が100円程度という厳しい環境下にあるフィリピンの人々のため、未使用の歯ブラシやタオルの収集、募金活動、現地での医療活動などを行っているフィリピン医療ボランティアの「ハローアルソン!」。2月8日〜11日、歯科医師や歯科衛生士、高校生などを含む同団体のメンバー総勢74人がフィリピン・マニラ近郊のスラム地帯を訪れ、物資の支援活動や医療活動を実施。4日間の活動期間中、約1500人への物資配布、患者1154人への治療を行った。 

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今回の「2012年ハローアルソン・フィリピン医療ボランティア」に参加したのは74人。歯科医師17人、薬剤師1人、看護師1人、歯科衛生士11人、歯科技工士2人、歯科助手3人、高等学校教員1人、一般参加者11人、大学生2人、高校生25人というメンバーだ。 

首都マニラを抜けたカビテ市のバランガイでは、日本で集められた米、歯ブラシ、タオル、固形石けん、洋服などの生活用品の配布活動を実施。気温28度を超える暑さと、1000人近くの出迎えの熱気でむせ返るような会場の中、高校生が中心となって物資を一人一人に手渡ししていくと、住人から「サラマッポ(ありがとう)」と感謝の言葉が繰り返された。

また、2日間にわたって医師メンバーを中心に3つのエリアで医療活動を実施。検診、抜歯、保存(歯を削り詰める)、クリーニング、消毒、投薬。スラム地域では、貧困のため「人生で初めての歯科治療」という人々ばかりだ。小さな子どもたちが痛みや恐怖に耐え、泣きながらも抜歯などの治療を受ける背景には、今後二度と歯の治療を受ける事ができない現実があるからだという。

バケツの中に貯まっていく抜かれた子どもたちの歯。日本ならば治せるはずの歯を幼くして失っていく子どもたちの姿に、涙を流す高校生の姿も。「しっかりとこの現実を目に焼き付けなさい。この現実を知り、これから何をしなければいけないのか学びなさい」。メンバーの言葉に、高校生たちは涙をぬぐい、「カナモヤン(頑張って)」と子どもたちの手を握りしめ励ましたという。

「ハローアルソン!」によるフィリピンでの奉仕活動は今年で11年目。「2012年 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会」団長の関口敬人氏は、「飛行機でたった4時間のこの場所。日本の子どもたちが野球選手やサッカー選手に夢をふくらませている時、今日食べること、明日生き伸びる事に夢を見る子どもたちがいます。フィリピンでの出来事は同じ地球の、同じ人間同士の現実である事を私たちは忘れてはいけません」と訴える。

本当の“豊かさ”とは何なのか。2012年度の活動を早くもスタートさせた関口氏やハローアルソン!のメンバーは「これからもフィリピンの恵まれない子どもたちへ無償の歯科治療と物資の支援活動を通じ、人間が本来あるべき姿を学び、考えていきたいと思います」と決意を新たにしている。【東京ウォーカー】

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