自転車による世界一周旅行を続けていた日本人青年、河源啓一郎さん(※)が17日、湖北省武漢市で自転車を盗まれた。武漢市警察が同件をインターネットで公開すると、ユーザー約8000人が日本人青年の「自転車を探そう」と呼びかけあったという。中国新聞社が報じた。(※中国語の略字体から日本の字体に変換。異なる書き方の可能性あり)

 河源さんはこれまでに自転車で世界10カ国(地域)を旅した。中国では上海市、江蘇省を経て3週間ほど前に武漢市に到着した。

 17日午後、河源さんは同行の友人と武漢市内の繁華街を観光した。歩行者街には自転車で入れないので、自転車置き場に「愛車」を止めたが、満車状態だったので所定の位置の外に置かざるをえなかった。置き場には管理人がおり「自転車は見ているよ。ただし午後8時までには戻ってほしい」と告げたという。

 河源さんらは約束を忘れ、午後8時半ごろに戻ってきた。管理人は勤務時間を終えたのですでにおらず、自転車の姿もなかった。河源さんは警察に、自転車が盗難に遭ったと届け出た。警察は18日に、自転車置き場の管理人を探し出したが、河原さんらは「自転車は置き場の外に止めた。(見ていると言われたが)自分らが約束の時間に戻らなかった。管理人に責任はない」との考えを示したという。

 警察は別の自転車1台を用意し、河源さんに「これで武漢の観光を続けてほしい」と貸し出した。警察は一方で、盗まれた自転車の捜索に力を入れた。インターネットの公式ミニブログでも同件を告知した。

 ミニブログでは、ユーザー約8000人が日本人青年の「自転車を探そう」と呼びかけあったという。

 20日早朝、地元メディアに「河源さんのものと思われる自転車を買った。本人に返したい」との申し出があった。メディアによると、河源さんの自転車は中国の通貨で1万6000元ほどの価値があるが、盗んだ自転車を売る「ヤミ市場」で1000元あまりで売られていたという。

 メディアと警察を通じ、同日夜に河源さんに自転車が返還された。河源さんは警察官に対して「合掌のポーズ」で感謝の意を表現した。警察官は河源さんに握手を求めた。

 河源さんの自転車を「ヤミ市」で入手したという人の情報や詳しい経緯は伝えられていない。警察は、盗難事件としての捜査を継続するという。(編集担当:如月隼人)