10月11日、東海第2原発を有する茨城県東海村の村上達也村長は、都内で細野豪志原発事故担当相、中川正春文部科学相と相次いで面談。初めて同原発の廃炉を強く求めた。

 原発を巡る各自治体の対応は割れている。東海村のように「脱原発」を明言するところもあれば、新たな原発の建設地に名乗りを挙げた山口県上関町のような例もある。こうした声に、国会議員たちはどうのように対応していくのだろうか。

「原発は維持すべきだ」とする議員のひとり、たちあがれ日本の平沼赳夫氏は原発の必要性をこう説明する。

「今、電力の約3割が原子力発電です。自然再生エネルギーの太陽光や風力は1、2%ぐらい。この自然再生エネルギーを3割まで高めるのはなかなか難しい。再生可能エネルギーは夢みたいなことを言ってるけど、太陽光は夜になると使えない。風力も風が吹かなければ使えない。

 日本は工業立国だから、原子力発電をストップするのは国策上よくないんです。それにせっかく技術を重ねてきたんだし、ここまできたら原発を完全否定できないでしょ。だから、安全性を担保しながら利用できるものはできる限り利用していこうということなんです。

 また、発電には今、熱核融合という新しいジャンルもある。これだと原発と違って放射線が少ないんです。地下原子力発電と一緒に、今後はこうした次世代の原子力発電も考えていかなければいけないと思います」

 一方、みんなの党の渡辺喜美氏は、電力の自由化を柱にして脱原発すべきだと次のように語る。

「とにかく電力会社というのは巨大な組織であるし、非常に影響力が強い。脱原発というのは、この電力会社を敵に回すことだから、相当な覚悟がないとできないんですよ。

 でも、私たち(みんなの党)は電力を自由化して、原発を淘汰したいと考えています。消費者が電力会社を自分で選べるようにしたい。今、家庭では電力会社を自由に選べないですよね。でも、大口需要家はPPS(特定規模電気事業者)から安い電力を買うことができるんです。例えば、立川競輪場は電力供給を東電から、このミニ電力会社に変えたら、年間6300万円かかっていた電力料が4600万円に下がったと言ってました。

 コンバインドガスタービンという効率の良い発電所を作るには東電だけは特例があってすぐできるが、PPSは7年もかかる。だから、今すぐ電力自由化宣言をやって完全自由化を決めるのです。電力料金が劇的に下がり、供給も増えます。2020年までに原発がゼロになることが可能です。まず、東電を破綻処理して発送電分離をやればいいんですよ」

 経済のために原発を維持すべきだという平沼氏と、経済のためにこそ脱原発すべきと語る渡辺氏。国民はどちらの意見を支持するだろうか。

(取材/村上隆保、畠山理仁、頓所直人)

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