スタメン


GK 川島永嗣 7.5

 → 韓国戦からのいい流れを継続。ビッグセーブを連発して勝利を引き寄せた。特筆すべきは1対1の強さで、後半27分にはFWキューエルの1対1をストップ。昨年の南アフリカ大会を思い起こさせるプレーで「PK戦までもつれていても大丈夫だったのでは?」と思わせる活躍だった。韓国戦ではセンターバックとの連携が不十分で危うさあったが、この日は、全く問題なし。数日間で最終ラインとの関係を改善し、飛び出すタイミングについてもほとんど間違いはなかった。


DF 内田篤人 6.0

 → 前半から積極的にプレーし、これまでの試合ではあまり見られなかった「サイドでの仕掛け」で攻撃に関与した。終盤になるにつれて勢いは増していき、フリーに近いタイミングでオーバーラップできるようになった。ただし、なかなかクロスが中央の味方と合わなかったことは反省材料で、ハイボールにしたり、アーリー気味にしたりと、「球質」や「球速」や「タイミング」に変化を加えたが、あと一歩の精度が足りなかった。それでも苦しいときに、確実にコーナーキックを取ってくれたので非常に助かった。


DF 吉田麻也 6.5

 → 世界レベルのオーストラリアの2トップに、果敢に挑んでいった。空中戦で競り負けることもあったが、経験豊富な選手を相手に頑張って対応し、無失点に抑えたことは高く評価できる。注目されるのは、今後である。ザッケローニ監督は、DF闘莉王やDF中澤を招集するのか?4年後を考えると、DF中澤は厳しい気もするが、現時点では日本で最高峰のセンターバックであることは間違いなく、DF吉田にとってもいいお手本となるはず。DF今野を含めて、センターバックの軸を誰にするのか?非常に楽しみである。


DF 今野泰幸 6.0

 → FWケーヒルと競り合うシーンが多く、危ない場面もあったが、出来ることはすべて出し切って勝利に貢献した。途中で左サイドバックに移ってからは、DF長友とうまく受け渡しができないシーンもあったが、組み立てにも貢献し、フィードもまずまずだった。オーストラリアは後半20分にMFホルマンに代えてMFエマートンを投入してきたが、DF今野のポジションを代えていたため、185?のMFエマートンと170cmのDF長友がマッチアップすることを避けられたのも幸運だった。


DF 長友佑都 8.0

 → 無尽蔵のスタミナとスピードでオーストラリアの右サイドをズタズタに切り裂いた。特にポジションがサイドハーフに移ってからのプレーは圧倒的で、(MFホルマンが途中で下がったのはラッキーだったが、)対面したDFウィルクシャーと何度も1対1の形となり、そのほとんどを制した。決勝ゴールは縦に仕掛けて抜き去ってからの左足のクロス。数ヶ月後(数日後?)にメガクラブでプレーしていても驚きはない。


MF 遠藤保仁 6.0

 → 韓国戦ではキレがなかったが、この日はクレバーさが戻って、落ち着いてゲームを組み立てた。DF今野が左サイドに入って守備が安定してからは、後ろを気にしすぎる必要もなくなったため、前に絡むことも出来た。FW李忠成のゴールにつながったプレーもMF遠藤が起点だった。今大会では、代えの利かない存在であり負担のかかる役割を担ったが、期待されたパフォーマンスを見せて、自身のキャリアで2度目のアジア制覇を成し遂げた。とにかく、しばらくの間、ゆっくり休んでほしいところである。


MF 長谷部誠 5.5

 → オーストラリアの攻撃がロングボール主体だったため、中盤のバトルにはならなかったので、なかなか試合に参加することが出来なかったが、要所では守備で貢献した。キャプテンシーを発揮し、ついにチームをアジアチャンピオンに導いたが、MF遠藤が警戒されたときに代わりにゲームを作れるようになると、さらに上の選手になれる。ヴォルフスブルクではプレーが制限されており、なかなか成長するチャンスに恵まれていないのは気になるが・・・。


MF 藤本淳吾 4.5

 → MF香川の怪我で先発のチャンスが回ってきたが、見せ場はほとんどなかった。サイドでボールを受けて仕掛けたいのか、裏のスペースに飛び出してボールを受けたいのか、曖昧なままで大きなアピールチャンスを逃してしまった。アジアカップの決勝で初先発というシチュエーションは簡単では無いことは理解できるが、プレーが消極的で、自信なさげなプレーぶりだった。


MF 本田圭佑 5.5

 → フィジカルの強いオーストラリアのマークに苦しみ、レフェリーがファールを取ってくれないこともあって、珍しく中盤の危険なエリアでボールを失うことが多かった。MF香川がおらず、MF藤本が流れに乗りきれなかったこともあって、オーストラリアのマークが集中したのも気の毒であった。ただし、時間が進むにつれてリズムを取り戻し、体力は最後まで落ちなかった。


MF 岡崎慎司 5.5

 → MF藤本がスタメンに起用されたので、前半は左サイドでプレー。代表では左サイドでのプレーも経験しており違和感はなかったと思うが、ボールがMF岡崎のところに必要以上に集まりすぎて、DFから消える時間が作れず。得意の裏への飛び出しでチャンスを作るシーンはなかなか見せられなかった。後半になると右サイドに移動し、後半21分のダイビングヘッドは「決まったか?」と思わせたが、惜しくも枠を外れてしまった。運動量は落ちなかったが、疲れもあったのかカタール戦や韓国戦と比べると「キレ」は感じられなかった。


FW 前田遼一 5.5

 → 悪くはなかった。周りとのコンビネーションは良くなってきており、味方との距離感も良くなってきている。が、もう少しシュートへの積極性があってもよかった。韓国戦でもドリブルで仕掛けたときにチャンスになっていたので、もっとペナルティエリアの近くで仕掛けていっても良かった。決勝戦でゴールはなかったが、とにかく、ここまでJリーグで実績を残しながらフル代表での実績がほとんどなかった選手が、フォワードの軸となって優勝に貢献できたことはおめでたいことであり、疲れを取ってシーズンに臨んでほしい。



途中出場

MF 岩政大樹 6.5

 → 後半27分にFWキューエルにかわされてGKとの1対1のシーンを作られたことは減点材料ではあるが、苦しんでいた空中戦で互角以上に渡り合って、無失点に大きく貢献した。DF吉田との組み合わせは、ほぼ初めてといえる状況であったが、耐えて勝利を呼び込んだ。ただ、ビルドアップのとき、相手にプレッシャーをかけられると、前に蹴り出すしかなくなるので、DF岩政が入ったあたりから、後ろからのボール回しはスムーズではなくなった。(DF吉田あるいはDF今野よりも劣ってしまうのは仕方がないが・・・。)このあたりは、オーストラリアのオジェック監督もよく理解していたはずで、後半の中盤以降は前からプレッシャーをかけてきた。


FW 李忠成 7.0

 → こういった大舞台になると、「もっているか」、「もっていないか」で決まってくる。「偶然」とか、「運」とは同じでないよく分からない何かで、それうぃ説明することはできない。結局、FWロッベンとか、FWキューエルは「持っていない組」で、MFイニエスタやFW李忠成は「持っている組」ということになる。ドフリーになったのはオーストラリアのディフェンダーの「凡ミス」であるが、ふかしてしまいそうなシュートを上手く抑えてネットに突き刺した。トラップする余裕もあったが、思い切って左足を振りぬいたことが日本に優勝カップをもたらした。


DF 伊野波雅彦 なし

 → 試合終了間際にDF内田と交代で出場した。1点差の状況で、最後にパワープレーを仕掛けてくることは確実だったので、空中戦に強いDF伊野波の投入は間違いではなかった。ただ、ずっとベンチでもチームの盛り上げ役として貢献していた同じポジションのDF森脇を使ってあげたかったな・・・という気持ちもある。(1点リードの状況では仕方ないが・・・。)



監督 ザッケローニ 7.5

 → 1つの交代(MF藤本→DF岩政)によって試合の流れをグッと引き寄せる鮮やかな采配。1つを変えることで3つ・4つのプラス効果をもたらす「神がかり的な采配」だった。最大の驚きはDF長友のサイドハーフでの起用。MF香川を欠いていたこともあって「1対1で勝負できる選手がいない。」という弱みを大胆なポジションチェンジで補ってみせた。MF藤本を代えることは予想できたとしても、3バック(=5バック)ではなくてDF今野を左サイドバック、DF長友を左サイドハーフにスライドさせることを「想定内」ととらえることができるのは、超一流ライターでサッカー偏差値も高い杉山茂樹氏くらいだろう。ロングボールに苦しんだ韓国戦からわずかな期間で対応してきた修正力も見事だった。

関連エントリー

 2009/08/31  トルシエがゴン中山を召集した理由
 2010/01/09  「わたし」が好きだったJリーガー
 2010/06/03  日本サッカーの偏差値を下げてしまっている人
 2011/01/10  日本 - ヨルダン戦の採点  (アジアカップ・GL) 
 2011/01/14  日本 - シリア戦の採点  (アジアカップ・GL 2戦目)
 2011/01/18  日本 - サウジアラビア戦の採点  (アジアカップ・GL 3戦目)
 2011/01/22  日本 - カタール戦の採点  (アジアカップ・準々決勝)
 2011/01/26  日本 - 韓国戦 プレーヤー別採点  (日本代表編)
 2011/01/30  【日本×豪州】 ザック アジアを制する