アジアカップの日本代表メンバー発表が行なわれた12月24日、2011年の各カテゴリーのスケジュールも明らかになった。特色が感じられるのは、U−22代表についてだろう。フル代表とのダブルヘッダーで、テストマッチが開催されるのだ。

前回の北京五輪は、2次予選と最終予選が総当たりのグループリーグ形式だった。今回は1次、2次が2か国よるホーム&アウェイである。

北京への道のりで最終予選まで勝ち残った12か国と開催国の中国は、2次予選からの登場となる。韓国、オーストラリア、北朝鮮、サウジアラビアらと、2次予選で対戦することはない。

その一方で、1次予選から参加する国には、クウェート、UAE、イラン、オマーン、ヨルダン、タイといった国が含まれている。広州アジア大会で優勝を争ったUAE、同4位のイランらと、いきなり激突する可能性がある。このため、3月29日と6月1日に、フル代表の前座としてU−22代表のテストマッチが組まれたのだ。2月の中東遠征も、2次予選のアウェイゲームを想定したシミュレーションとなる。また、2次予選突破を前提として、8月10日にもフル代表とのダブルヘッダーが組まれた。

ダブルヘッダーは妙案だと思う。

若年層の代表によるテストマッチを、単独で有料開催するのは少しばかり無理がある。だからといって、合宿中の練習試合だけというのも物足りない。観客のいない練習試合よりも真剣味の増す舞台を、この年代にも提供していきたい。

国際試合でなくても構わない。Jリーグの下部組織や、高校や大学が相手でOKだ。代表チーム内の紅白戦でもいい。観客がいる前でゲームを行なうことで、代表のユニホームを着る誇りや責任感を植えつけていくことが大事なのだ。

U−17代表と高校生チームが対戦すれば、代表チームは負けられないと闘志を燃やすだろう。高校生チームにとっても、自分をアピールする機会だ。指導者があれこれと指示を出すまでもなく、選手はモチベーションを高く持ってプレーする。

試合後には代表のゲームをスタンドで観戦してもらう。FIFAアンセムとともに選手が入場し、両国の国家が流れる。国際試合独特の雰囲気を肌で感じ取った選手たちは、「いつか自分もこういう舞台に立ちたい」という思いを抱くに違いない。

サッカー協会の原技術委員長は、U−20ワールドカップ出場を逃した世代も強化を継続していく、と語っている。これまで同様に海外のトーナメントへチームを派遣する意向が滲むが、代表チームとのダブルヘッダーをあわせて検討していきたい。

20歳以下のチームの紅白戦でも面白いだろうし、代表マッチの開催地を考慮して、地元のJクラブの下部組織や地域選抜の協力をあおぐのもいい。観客動員アップにつながる。U−20とU−18代表の“兄弟対決”が実現したら、サッカーファンの注目を集めそうだ。

U−20の選手たちからすれば、力の差を見せつけたい一戦である。U−18の選手側も、簡単に負けるわけにはいかないだろう。プレッシャーのかかった攻防が期待できる。フル代表の前座であっても、強化につながるゲームが展開されるはずだ。

6月にU−17ワールドカップに出場する代表チームを、3月25日のキリンチャレンジの前座で登場させてもいい。11月にAFCU−19選手権1次予選を控えるU−18代表の強化として、8月のキリンチャレンジでダブルヘッダーを組むのはどうだろう。

前年度のカレンダーを踏襲するだけでなく、何か新しいことをやってみるというスタンスを求めたい。とにかく動き出すことで、強化や育成を充実させるヒントを見つけることができると思うのだ。

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