原音を忠実に再生、“木”にこだわった密閉型インナーイヤーヘッドホン「HA-FX700」
2008年2月には、原音再生への可能性を最大限に引き出すべく“木”の音響特性に着目し、その素材への徹底したこだわりと先端テクノロジーの結集により、世界で初めて（※1）“木”の振動板を採用した、原音をより忠実に再生する密閉型インナーイヤーヘッドホン「HP-FX500」を商品化。「HP-FX500」は発売以来、臨場感豊かなサウンド再生力と、振動板とハウジングに“木”を採用した独自性で高い評価を集め、密閉型インナーイヤーヘッドホンでの高音質リスニングの世界を広げることに成功。そして2010年2月10日、「HP-FX500」の開発で得たノウハウをもとに、更なる進化を遂げた上位モデル「HA-FX700」が発売された。
「HP-FX500」から「HA-FX700」への主な変更点は、以下の2点。まず1点目は、円錐形状の“木”の振動板を採用した“ウッドドームユニット”。振動板ウッド部の表面積を約2倍に拡大し、低音域の高調波の歪み（※2）と高音域の共振を抑え、重厚な低音域とピュアな中高音域を量感豊かに再生する。そして2点目には、ユニットの背面に比重の大きいブラス（真鍮）リングを加えた“ハイブリッド構造”が、さらにユニット前面にもブラスリングを加える新開発“デュアルハイブリッド構造”に進化し、ユニットの振動ロスを低減するとともに、振動板の歪みを抑え、振幅を安定化。解像度の高いクリアなサウンド再生を実現した。
振動板のみならず、筐体にも“木”を採用し、自然な音の広がりや余韻など臨場感豊かな音の響きと広がりを再現する“ウッドハウジング”は、デザイン面でもクールな上質感と、ナチュラルで温もりある優しさを演出。美しいフォルムが所有者に満足感をもたらすとともに、個性的でこだわりある大人の魅力をさりげなく周囲へとアピールする。
ヘッドホンで音楽を快適に楽しむためには、装着感もまた大きなポイント。ここで実際に「HA-FX700」で音楽を楽しむ前に、自分の耳穴の大きさに合わせて、ソフトな感触でぴったりフィットするSとMの2サイズの低反発イヤーピース、またはS・M・Lの3サイズのシリコンイヤーピースの中から、いずれかを選択。次に、ジャックを携帯型音楽プレーヤーに接続してポケットに収めると、ヘッドホン本体から伸びる0.8mコードが絶妙な長さであることに気付かされる（0.7mの延長コードも付属）。いよいよ装着すると、これまでの周囲の喧噪から解き放たれるの様に体内を静寂が包み込み、これから流れ出す音楽への集中力を高めてくれる。
まずは“木”との相性の良さを連想させる、オーガニックな魅力溢れるジャズ・ヴォーカリスト、noonのポップス・カヴァー・アルバム「Songbook」を視聴。真っ先に驚かされるのは、耳の奥から脳へと広がる立体的な音場空間。深みのあるヴォーカルから、ブラシによるスネアの擦過音、ウッドベースの弦のテンションまで鮮明に聴き取ることができ、目を閉じるとあたかもジャズクラブにいるような錯覚にまで陥った。
対照的に今度は、シングル「I gotta-Summer Kiss-」がiTunesで2008年度年間1位のダウンロードを記録し、昨年10月に配信限定シングルでメジャーデビューを果たしたR&Bシンガーソングライター、EMI MARIAのニューシングル「Show Me Your Love」を試聴。「HA-FX700」は、7オクターブともいわれる彼女の伸びやかな歌声を低域から高域までクリアに再生し、デジタル音源による緻密なトラックと、繊細に重ねられた厚みのあるコーラスワークまでもを爽快に表現してみせた。
今まで気付かなかった音色を発見することが楽しくなり、その後は次から次へと様々な楽曲を夢中で再生。「HA-FX700」は日本ビクターの“原音探究”の理念に基づき、アコースティックなジャズ・クラシックはもちろん、“木”とは対照的なイメージのあるデジタルミュージックなどジャンルを問わず、“原音”に忠実で解像度の高いクリアなサウンド再生を実現し、新たな音楽の楽しさを教えてくれた。
・ビクター インナーイヤーヘッドホン「HA-FX700」特集
※1：2007年12月26日現在、ヘッドホン用振動板として
※2：高次の倍音が複数発生して起こる歪み
