リスタートを除くと、エリア内での枠内シュートは4本。ボール支配率やシュート数に比例したゴール数を生み出すためのヒントは、ここにあるのではないか<br>Photo by Kiminori SAWADA

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 拳を握りしめたものの、いくらパンチを繰り出しても致命傷を与えることができない──1月20日に行なわれたイエメン戦は、そんなゲームだった。

 公式記録によれば、日本代表は27本(前半13本、後半14分)のシュートを記録している。寺田と高木のセンターバックを除いて、交代選手も含めたフィールドプレーヤーがすべてシュートを放った。

 しかし、半分以上は打った瞬間にため息がこぼれるようなものだった。2得点がいずれもリスタート絡みという事実が示すように、流れのなかから崩しきれなかった印象は強い。

 シュートというものは、以下の4つに分類できると思う。

(1)ペナルティエリア内から放たれ、ワクをとらえたシュート。
(2)ペナルティエリア内から放たれ、ワクをとらえられなかったシュート。
(3)ペナルティエリア外から放たれ、ワクをとらえたシュート。
(4)ペナルティエリア外から放たれ、ワクをとらえられなかったシュート。

 ゴールを奪うためには少なくともワクを捕らえなければならないから、得点するためには「(1)」と「(3)」につながる場面を増やさなければならない。

「(3)」のシーンが極端に少ない印象はなかった。足りなかったのは「(1)」のシーンだった。ペナルティエリア内から放たれたシュートがワクを捕らえたのは、前後半合わせて8回を数える。ただ、そのうち4つはリスタートが起点だった。流れのなかでペナルティエリア内に侵入し、かつシュートをワクに運んだ場面は、わずかに4回しかなかったのである。僅差の勝負となったのも無理はない。

 75パーセント強のボール支配率を弾き出しながら、「(1)」の場面がかくも少なかったのはなぜか。ひとつの大きな理由は、両サイド深くのスペースを使えなかったことにある。

 サイドを深くまでえぐられると、DFは難しい対応を迫られる。マークをつかみにくくなり、クリアするのが精いっぱいの場面が増える。前述した「わずかに4回」のうち3回は、サイドを深くえぐったクロスから生まれているのだ。

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