ダイエットが気になる女性だけでなく、メタボリック症候群が心配のお父さん達にも聞き逃せないような話題である。睡眠時間が生活習慣病に大いに影響し、一般的に寝不足といわれる「1日5時間未満」では肥満になりやすく、加えて糖尿病は寝不足でも寝過ぎ「8時間以上」でもなりやすいという研究発表が行われた。

兼板佳孝日本大講師(公衆衛生学)から3月12日行われた発表によると、兼板講師らが地域や職場の健康データ約2万3千人分を分析した結果「糖尿病患者」は「睡眠時間6時間以上8時間未満」の場合が最も少なく「6時間未満や8時間以上(一般的に寝不足、寝過ぎといわれる範囲)」では3倍から5倍にもなった。
さらに男性勤務者を継続調査したところ睡眠時間が「5時間未満」だと「5時間以上」に比べて7年後には1.2倍が肥満になり、糖尿病など生活習慣病にもりやすかった。
成人女性については、脂質代謝異常(動脈硬化の原因となる)も睡眠時間「6時間以上7時間未満」で少なく、「5時間未満」「8時間以上」で多いという結果が出た。

睡眠時間についてはこれまでも各国で研究されており
英国:「予防の観点からいえば、われわれの知見では、毎晩7?8時間の睡眠を確保することが健康にとって最適ということになる」という報告。
米国:「平均睡眠時間が4時間以下の人は,平均睡眠時間7時間の人に比べて73%も肥満になる確率が高く,睡眠時間が5時間の人は50%,睡眠時間が6時間の人は23%肥満になる確率が高くなる」
という報告が知られている。
今回の研究発表は日本人をデータに生活習慣病の分析にまでおよぶもので結果内容はより前進したといえる。

兼板講師が「寝不足だとホルモンバランスが崩れて食欲が高まり、生活習慣病になりやすいのではないか。睡眠の指導も重要だ。」と指摘するように医療現場でも治療の一環として睡眠指導をもっと取り入れ、患者側も睡眠について積極的に相談することが望ましいようだ。