事務用品の通販で知られるアスクルは昨年2月に起こった「物流倉庫(埼玉県)」の火災で、2018年5月期は7.3%の増収も「52.7%の営業減益」を余儀なくされた。が、今期は四季報の業績らの見出し【大幅回復】と完全復活を遂げる階段を早くも歩み始めた。

【こちらも】アスクル最大規模の物流センター「AVC関西」が関西で開所

 19年5月期は「8.2%増収(3,900億円)、43.1%の営業増益」計画で立ち上がった。アスクルは「広範な事務用品」や「企業の作業現場用品」「衛生・介護用品」「医療機関向け用品」のカタログを介した通信販売を手掛けており、「カタログ」上での総アイテム数は、3万6,500以上に及んでいる。

 そんな同社がネット通販に歩を進めたのは、1997年3月。インターネットが活用されるようになった黎明期である。製造業の現場作業用品の販売が伸張する中で取扱製品の拡充を図り、2017年8月には取扱商品数が373万余りに達した。またネット通販の利便性にも力を注ぐ姿勢を示し続けている。トップページのリニューアルや新たな検索エンジンの採用で、サイトの向こう側の顧客が求める物を探し出し易くかつ購買意欲を高めるレコメンド機能の強化と取り組んでいる。

 さらには販売チャネルが別だった「医療・介護業界向け一般消耗品」と「医療材料」のチャネルを統一するなど注力を続けている。ちなみにアスクルのBtoCビジネスの代名詞になっている「LOHACO(ロハコ)」は2012年10月に同社とヤフージャパンのコラボレーションにより立ち上がった通販サイト。アナリストは「重い、あるいはかさばる商品を購入する時間が省かれた。これを契機にアスクルのネット通販は一気に加速したといえる」とした上で、こう続けた。

 「火災が起こる前年度のECの総売上高比率は約88%。その意味でロハコを軸にしたネット通販の重石となっている事態の解消が同社の今後の最大のカギであることはいうまでもない」。ちなみに「ロハコ」の出荷能力・商品点数は現時点で火災前の水準を上回っている。

 (ネット)通販の課題である配送体制を支えるため自社ドライバーの増強と並行し、AIを活かした効率的な配送ルートとも取り組んでいる。